北海道宮島沼における水質汚濁の現状と 渡り鳥由来のリン負荷量の推定

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タイトル別名
  • Evaluation of the degree of water pollution and estimation of phosphorus loads from migrating birds in Lake Miyajimanuma, Hokkaido
  • ホッカイドウ ミヤジマヌマ ニ オケル スイシツ オダク ノ ゲンジョウ ト ワタリドリ ユライ ノ リン フカリョウ ノ スイテイ

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抄録

本研究では,マガン等の渡り鳥が季節的に集中する宮島沼とその流出入水の水質調査を2011 年から2012 年の2 年間実施し,沼の栄養状態や汚濁物質の流出入負荷量を調べた.さらに,沼におけるリン収支の結果から鳥の排泄物が富栄養化の原因となりうるか考察した.宮島沼は現在深刻な過栄養状態であり,TN およびTP 濃度の季節的増減はマガン飛来数の増減と同様の傾向が見られた.さらに,流入水路を介したTN やTP の負荷量よりも流出水路における負荷量の方が多かったことから,宮島沼の富栄養化には渡り鳥による汚濁物質の供給が影響しているものと考察した.リン収支の解析結果から,流入水路または渡り鳥によるリンの面積負荷は,それぞれ1.20-1.67 または4.40-5.34 g m-2 y-1 と推定された.これらは共に宮島沼を十分に富栄養化させる値であることから,渡り鳥の分散化や集水域全体の復元などによるリン負荷量の削減対策が宮島沼における富栄養化の改善において必要であると考えられた.

収録刊行物

  • 湿地研究

    湿地研究 5 (0), 15-23, 2014

    日本湿地学会

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