森林政策の伝達状況と林家の木材生産 : 栃木県の事例

  • 芳賀 大地
    東京大学大学院農学生命科学研究科:日本学術振興会:鳥取大学農学部
  • 永田 信
    東京大学大学院農学生命科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Transmission of Forest Policy and Harvesting of Family Forest Owner : The Case of Tochigi Prefecture
  • シンリン セイサク ノ デンタツ ジョウキョウ ト リンカ ノ モクザイ セイサン : トチギケン ノ ジレイ

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抄録

これまでの林家研究では森林資源や,労働力,家計構成,施業体系などが重視され,情報への注目は僅かであった。そこで,林家の保有する情報とその伝達経路,さらにそれが木材生産に与える影響を明らかにすべく,林業経営に重要な造林補助金と,その受給要件である森林経営計画をめぐって,栃木県において調査を行った。調査の結果,普及指導事業においては,林業経営の普及は主に森林組合を通じて行われていた。森林組合は広報誌や会合を利用して情報伝達を行っており,森林経営計画については施業受託地の周辺から広げていく戦略をとっていた。組合員アンケートの結果でも,森林組合の広報誌や会合が主な情報伝達経路であることが裏づけられた。木材生産行動決定の推定モデルを作成したところ,森林経営計画の情報伝達が利用間伐に結びつく可能性が示された。また,相談相手の存在や現実的な留保価格を持つ林家が利用間伐を行っていること,利用間伐と皆伐には相関がみられることなどから,コンサルティングの有効性が示唆された。

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