地域の遺伝資源保全に配慮した緑化工のための埼玉県コナラ集団の遺伝的多様性評価

• 白石 祐彰

  株式会社奥村組

• 津田 吉晃

  森林総合研究所森林遺伝研究領域 ウプサラ大学進化生物学センタ-植物生態・進化部門 東京電力株式会社

• 高松 進

  東京電力株式会社

• 津村 義彦

  森林総合研究所森林遺伝研究領域 筑波大学生命環境系

• 松本 麻子

  森林総合研究所森林遺伝研究領域

書誌事項

タイトル別名

• Genetic diversity evaluation of <I>Quercus serrata</I> population in Saitama Pref. for revegetation technology with consideration for genetic resource conservation in region
• チイキ ノ イデン シゲン ホゼン ニ ハイリョ シタ リョッカコウ ノ タメ ノ サイタマケン コナラ シュウダン ノ イデンテキ タヨウセイ ヒョウカ

抄録

土木工事により生じた大規模斜面における植栽の際には，自生集団の遺伝的多様性保全のために，自生あるいは遺伝的類縁性の高い近隣集団の種苗を用いるべきことが最近広く認知されている。埼玉県長瀞町および寄居町の送電鉄塔建設予定地において，生物多様性保全に配慮した緑化工を行う観点から，工事に伴う伐採前に採種して育苗したコナラ (Quercus serrata) を建設工事跡地に植栽した。この取組みにより，植栽集団 (実生 2集団) が自生集団の遺伝的多様性に与える影響を評価するために，マイクロサテライトマーカーを用いて植栽集団の遺伝的多様性や他集団 (埼玉県内の近隣 4集団および他県 3集団) との遺伝的分化程度について調査した。その結果，実生集団の遺伝的多様性は近隣の成木集団も含めて他集団と同程度であった。 STRUCTURE解析では埼玉県と他県集団には遺伝構造がみられたが，埼玉県内集団については全体で一つの地域交配集団とみなすことできた。これらのことから，建設工事跡地に植栽したコナラ種苗は自生集団の遺伝的多様性およびその地域性を維持しており，本取り組みによって自生集団の遺伝的多様性保全に貢献できたことがわかった。

収録刊行物

• 日本緑化工学会誌

  日本緑化工学会誌 41 (3), 402-409, 2015

  日本緑化工学会

キーワード

• 生物多様性保全
• 大規模斜面
• コナラ
• マイクロサテライトマーカー
• 遺伝的多様性
• 地域交配集団

詳細情報

• CRID: 1390001205085059712
• NII論文ID: 130005266378
• NII書誌ID: AN10130633
• DOI: 10.7211/jjsrt.41.402
• ISSN: 18843670
• ISSN: 09167439
• NDL書誌ID: 027186532
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I027186532
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/41/3/41_402/_pdf
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可