教育とキャリアを繋げる政策はなぜ迷うのか?

書誌事項

タイトル別名
  • Why do Policies that Connect Education and Careers Go Astray?
  • 教育とキャリアを繋げる政策はなぜ迷うのか? : 取引費用から整理する教育・市場・雇用
  • キョウイク ト キャリア オ ツナゲル セイサク ワ ナゼ マヨウ ノ カ? : トリヒキ ヒヨウ カラ セイリ スル キョウイク ・ シジョウ ・ コヨウ
  • ―取引費用から整理する教育・市場・雇用―
  • Education, market, and employment classified using the concept of transaction costs

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抄録

<p> 本稿では,取引費用という概念を使って人材と取引制度の分類を行い,教育とキャリアの接続を考察した。まず,取引費用の大小と市場取引と組織内取引の比較の観点から人材と取引制度を「市場型」「指令経済型」「ネットワーク型」「内部労働市場型」に分けた。さらに,その分類を踏まえて市場と雇用制度に関わる変化を「個別化」「市場化=非正規化」「バウンダリーレス化」「非定型化」に分類した。この分類によって,(1)「市場型」と「ネットワーク型」を区別せずに市場重視を語る限界と,(2)取引費用を過小評価し,市場取引や組織内取引を過度理想化する限界を考察した。具体的には,職業教育重視の高等教育改革案の問題点を検討し,「ネットワーク型」の中で脚光を浴びている曖昧な能力や働き方が,同じ市場取引という理由で「市場型の人材」の中に「密導入」され,さらにその能力が市場で観察・伝達可能であると理想化されていると説明した。実際の問題は,「市場化=非正規化」と「非定型化」によって生み出された「内部労働市場から排除され,なおかつ市場取引費用は高く,ネットワークも活かせない低い熟練の人材」が経験学習の「場」も喪失していることである。今後の高等教育機関の役割として,社会の中にネットワーク構築の「場」となることをあげた。</p>

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参考文献 (3)*注記

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