疼痛制御機構の発達・形成における幼少期ストレス負荷の影響

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タイトル別名
  • Effect of exposure to early life stress on the development and formation of pain modulation system
  • トウツウ セイギョ キコウ ノ ハッタツ ・ ケイセイ ニ オケル ヨウショウキ ストレス フカ ノ エイキョウ

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抄録

痛みの慢性化につながる精神的・心理的および社会的な要因の 1 つに幼少期の養育環境が挙げられる。本稿では,成熟期における神経障害性疼痛に対する幼少期ストレス負荷の影響に関連する因子の探索ならびに脳内神経機能が関連する変化について我々の成績を中心に概説する。マウスの幼少期に母子分離・社会隔離ストレス(MSSI)を負荷すると,成熟期において情動機能障害が認められた。 MSSI 負荷後の坐骨神経部分結紮による神経障害性モデル動物では,機械的・熱的刺激に対する反応性のさらなる増加がみられた。また,これら神経障害性疼痛後の情動障害において,情動機能因子である BDNF の発現変動が関与していることも示された。さらに,MSSI 負荷は,広範な脳領域において,神経の活性化マーカーである p-ERK 陽性細胞数を増加させた。これらの変化は神経障害性疼痛による痛覚過敏の増強に関与していることが伺える。以上,幼少期に受ける過度のストレスによって痛みが増悪・慢性化する機構が形成されることが明らかになった。

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