甲状腺全摘後,両側声帯麻痺による上気道閉塞が誘因となり陰圧性肺水腫をきたした1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of negative pressure pulmonary edema caused by upper airway occlusion due to bilateral recurrent laryngeal nerve paralysis after total thyroidectomy
  • 症例報告 甲状腺全摘後,両側声帯麻痺による上気道閉塞が誘因となり陰圧性肺水腫をきたした1例
  • ショウレイ ホウコク コウジョウセン ゼンテキゴ,リョウガワ セイタイ マヒ ニ ヨル ジョウキドウ ヘイソク ガ ユウイン ト ナリ インアツセイ ハイ スイシュ オ キタシタ 1レイ

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抄録

<p>症例は54歳,女性。Basedow病で加療されていた。超音波検査で左葉に直径3cmの腫瘤を指摘され,乳頭癌が疑われたため,当院へ紹介となった。</p><p>甲状腺全摘+D2aが施行された。麻酔導入時に挿管が困難であった。手術中,両側反回神経は確認,温存した。</p><p>術後,喘鳴,努力呼吸を認め,喉頭浮腫もしくは両側声帯麻痺を想定し,気管挿管を行った。しかし,呼吸状態が安定せず,血性泡沫状喀痰と胸部Xpでbutterfly shadowを認め,肺水腫と診断した。人工呼吸器管理下に呼気終末陽圧換気を行い,呼吸状態の安定が得られ,術後2日目に抜管を行った。嗄声,誤嚥を認めたが,術後5カ月目で左声帯麻痺は残存するものの,右声帯の代償性運動により症状の改善を認めた。</p><p>挿管と手術操作いずれかの影響で両側声帯麻痺をきたし,一時的に上気道閉塞状態となり,陰圧性肺水腫(negative pressure pulmonary edema,NPPE)を発症したと考えられた。甲状腺手術を取り扱う上で,NPPEに対する認識が低く,反省させられた1例であった。</p>

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