脊髄くも膜下麻酔後の下肢痛に筋筋膜痛症候群の関与が考えられた1症例

  • 篠原 仁
    東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック
  • 濱口 孝幸
    東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック
  • 北原 雅樹
    東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック

書誌事項

タイトル別名
  • Spinal anesthesia followed by leg pain: a possible case of myofascial pain syndrome
  • 症例 脊髄くも膜下麻酔後の下肢痛に筋筋膜痛症候群の関与が考えられた1症例
  • ショウレイ セキズイク モ マク カ マスイ ゴ ノ カシツウ ニ キンキンマクツウ ショウコウグン ノ カンヨ ガ カンガエラレタ 1 ショウレイ

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抄録

われわれは,脊髄くも膜下麻酔後の下肢痛に筋筋膜痛症候群の関与が考えられた症例を経験した.症例は77歳,男性.経尿道的手術が脊髄くも膜下麻酔下に切石位で行われた.翌日から離床するも,術後2日目(2POD)の歩行時に左足趾の痛みを自覚するようになった.経過とともに両下肢へと痛みの範囲が拡大し,歩行も困難となった.麻酔に難渋した経緯があったため4PODに整形外科医が診察を行ったが,有意な神経学的所見や画像所見はみられなかった.そのため5PODに痛みについてペインクリニックへ診察依頼となった.両下肢痛は歩行を主とする動作時にのみ生じ,両下肢には痛みを再現する多数のトリガーポイントがみられた.また,既往に変形性股関節症があり,ADLが著明に低下していたことが判明した.一方,麻酔関連の神経学的合併症,手術や体位に伴う神経障害は診察所見からは否定的であった.これらの臨床経過や各所見よりMPSを鑑別疾患として疑った.診断的治療として薬物療法と理学療法を開始したところ,症状は徐々に改善し10PODに退院となった.

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