下水汚泥焼却灰とアルカリ廃液を原料としたリン酸カルシウム肥料資材の有機性の有害物質安全調査と肥効および植害試験
書誌事項
- タイトル別名
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- Contents of harmful organic materials in calcium phosphate product derived from sewage sludge ash and alkaline wastewater
- ゲスイ オデイ ショウキャクバイ ト アルカリ ハイエキ オ ゲンリョウ ト シタ リンサン カルシウム ヒリョウ シザイ ノ ユウキセイ ノ ユウガイ ブッシツ アンゼン チョウサ ト ヒコウ オヨビ ショクガイ シケン
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抄録
<p>リン酸質肥料資材の安定供給を図るため,灰アルカリ法により,高リン含有廃棄物である下水汚泥焼却灰と多量に排出される電子プリント基板洗浄廃液(廃アルカリ;NaOH)を組合せ,無機性および有機性の有害物質を含まないリン酸カルシウム(Ca3(PO4)2・nH2O)肥料資材をミニプラントにより製造した.</p><p>この廃アルカリを肥料製造資材として用いるリスクとして,特に有機性の有害物質の混入が懸念されたことから,得られたリン酸カルシウムに対する有機性の有害物質の評価基準を検討し,次の点について明らかにした.</p><p>1)リン酸カルシウム製造において,灰アルカリ法を用いることで,下水汚泥焼却灰および廃アルカリの各原料が「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令」に定める環境基準値を下回ることにより,有機性の有害物質の含有量を低減することが可能であった.</p><p>2)上記1)を満たすリン酸カルシウムは高温焼成処理(850℃)を経なくとも,有機性の有害物質の低減が可能であった.さらに,「人の健康の保護に関する環境基準(別表1)」に定める有機性の有害物質に係る基準値を下回る,安全なリン酸カルシウム肥料資材であった.</p><p>3)合成したリン酸カルシウムを肥料取締法上の「肥料取締法に基づき普通肥料の公定規格を定める等の件」のうち,「副産りん酸肥料」または「焼成汚泥肥料」の区分相当で植害試験を実施した結果,有機性および無機性の有害物質の影響による植害は認められず,市販の過リン酸石灰と同等の肥効も示した.</p><p>4)国内の廃棄物において,無機性および有機性の有害物質の含有量が極めて低く,肥料資材原料として十分活用できるものが存在した.</p><p>5)廃棄物の複合的な利用による,新たなリン酸質肥料資材の量産の可能性が示された.また,種々の産業廃棄物を農業資材(原料)として利用するにあたり,肥料取締法上の無機性の有害物質のみならず,有機性の有害物質の混入経路を事前に想定し,混入の抑制を検討すると同時に正しい成分分析の必要性を認めた.</p><p>本研究により,国内で発生した廃棄物の複合的な利用による安全な農業資材の量産の可能性が示された.</p>
収録刊行物
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- 日本土壌肥料学雑誌
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日本土壌肥料学雑誌 87 (6), 438-449, 2016
一般社団法人 日本土壌肥料学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282681537431808
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- NII論文ID
- 130006221594
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- NII書誌ID
- AN00195767
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- ISSN
- 24240583
- 00290610
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- NDL書誌ID
- 027822228
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可