診断のパラドックス——筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群及び線維筋痛症を患う人々における診断の効果と限界

書誌事項

タイトル別名
  • Paradox of Diagnosis: The Positive Effects and Limitations of Diagnosis in Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome (ME/CFS) and Fibromyalgia (FM) Sufferers
  • 診断のパラドックス : 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群及び線維筋痛症を患う人々における診断の効果と限界
  • シンダン ノ パラドックス : キンツウセイ ノウ セキズイエン/マンセイ ヒロウ ショウコウグン オヨビ センイキンツウショウ オ ワズラウ ヒトビト ニ オケル シンダン ノ コウカ ト ゲンカイ

この論文をさがす

抄録

<p>「論争中の病(contested illnesses)」は検査で異常が確認されないため、当事者の多くは長期にわたる未診断状態や精神疾患等の「誤診」を経験する。そのため、先行研究では未診断状態の困難と当事者における診断の肯定的帰結が強調されてきたが、診断の効果の時間的変動や他者の影響は十分に検討されていない。本稿は、こうした点を考慮し、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群と線維筋痛症を患う人々の語りから、診断が当事者にもたらす影響について検討を行った。その結果、安心感の獲得、患い/苦しみの正統化、自責の念からの解放といった診断の効果が当事者個人に生じていた一方で、診断後も患いに対する他者の評価は低いままであり、病名を伝えても病気と見なされないという「診断のパラドックス」が生じていた。診断のパラドックスは、病者の周囲による脱正統化作用の大きさを浮き彫りにし、診断それ自体の正統性が脆弱であることを示唆する。</p>

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ