<論説>「海の古墳」研究の意義、限界、展望 (特集 : 海)

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タイトル別名
  • <Articles>The Significance, Limitations and Prospects of Research on Tumuli and Graves by the Sea (Special Issue : SEA)
  • 「海の古墳」研究の意義、限界、展望
  • 「 ウミ ノ コフン 」 ケンキュウ ノ イギ 、 ゲンカイ 、 テンボウ

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抄録

本論文では、「海を舞台とした人間活動と深い関連をもつ脈絡により、海の近くに築造された古墳」である「海の古墳」を研究することの意義と限界、そして展望を示す。まず、研究の意義として、首長墳の立地論や、海浜部の複合生産型臨海集落との関連、北方・南方の海蝕洞穴塞や海岸墓にも視点が広がることを挙げる。続いて、「規模」「立地」「海岸線と前方部の向きとの関係」という三項目での分類案を提示する。これにより、集団構成員から支配者層に至るまで、地域や時期の傾向を持って築造されたことが明らかとなる。一方、研究の限界も存在している。「海の近く」が曖昧であり、「海を舞台とした人間活動」も切り分けが難しい。それぞれ打開案を示したが、多くの分析検討の余地がある。しかし、古墳時代の生業や生産のあり方や、王権の統治原理や一般の生活論理を知る重要な糸口が、「海の古墳」から見えてくる。古代世界全体へと、研究の展望がひろがる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (1), 178-211, 2017-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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