糞分析を用いて明らかにされた大峯山系弥山におけるニホンジカの食性

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  • フン ブンセキ オ モチイテ アキラカ ニ サレタ オオミネ サンケイヤサン ニ オケル ニホンジカ ノ ショクセイ
  • Food habits of sika deer as assessed by faecal analysis in Mt. Misen, Ohmine Mountains, Central Japan

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Abstract

奈良県大峯山系弥山において、ニホンジカの食性の季節変化を定量的に評価するために、2015年9月から11月と2016年5月から11月に約1ヶ月間隔で計9回糞を採取し分析を行った。調査期間全体を通して単子葉植物が最も高い割合で含まれ(87.5~97.3%)、双子葉植物、シダ植物、樹皮・樹枝、その他の項目はすべて10%未満だった。弥山では森林に対してニホンジカの剥皮が大きな影響を与えることが知られているが、樹皮・樹枝の含まれる割合は単子葉植物と比べると低く、また夏に高く秋に低くなる季節性がみられた。このことから、弥山のニホンジカにとっての主要な餌資源は単子葉植物であり、樹皮は副次的な餌資源ではあるが、高い生息密度下にあることから森林に対しての大きな影響を与える要因となったと考えられる。また、餌資源の少ない秋~冬ではなく夏期に多くの樹皮・樹枝が含まれたことから、弥山のニホンジカは餌資源の不足以外の理由から剥皮を行っている可能性が考えられる。

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