PBLの課題克服に向けたプロジェクトマネジメント理論の有効性 : 文系大学での学生の態度変客とその効果

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タイトル別名
  • Effectiveness of Protect Management Theory in Overcoming PBL Issues
  • PBL ノ カダイ コクフク ニ ムケタ プロジェクトマネジメント リロン ノ ユウコウセイ : ブンケイ ダイガク デ ノ ガクセイ ノ タイド ヘンキャク ト ソノ コウカ

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抄録

本稿は,PBL(Project Based Learning)に対するプロジェクトマネジメント理論の有効性について考察するものである。 昨今,文部科学省を中心に,従来の受動的な教育手法を見直し学生の能動的な授業への参画を促すアクティブ・ラーニングの手法が注目されているが,プロジェクトマネジメント教育はその最たるものと捉えることができる。プロジェクトマネジメントは,1960 年代に米国で始まった月面着陸計画“アポロ計画”のような非定形の業務の管理に適用される方法論であり,定例業務を前提とせず,タスクを柔軟に管理し目標達成に導く。そのため,教育のプロセス管理が難しいといわれる問題解決型の高次のアクティブ・ラーニング,いわゆるPBL(Project Based learning プロジェクト型学習)を効果的に機能させる可能性を持つ。 しかしながら,これまでの研究においてはアクティブ・ラーニングにおけるプロジェクトマネジメント理論の意義,その活用に関しての事例や議論は十分ではない。 本研究では,文系学部の中で新設された「プロジェクトマネジメント科目」を通じ,プロジェクトマネジメント理論を学習する前後でのプロジェクトの成果を比較している。その結果,「プロジェクトマネジメント科目」受講後では,学生のプロジェクト進行も円滑化することができ,プロジェクトの総合評価が向上した。また,受講後には,学生が自らのリーダーシップの有り様を見出し工夫するなど,次なる実践で活かしている様子も確認できた。同時に,多くの学生がこれまで味わったことのない“達成感”を感じ,自分自身の特性について客観し,内省する現象が確認できた。その結果,本PBL のプログラムの学生評価は,「将来の人生設計や就職活動への有効性」といったキャリア意識の醸成において高く評価された。 このことから,プロジェクトマネジメント理論を,PBL(Project Based learning)の学習方法の一つとして定式化させることが,プロジェクトを円滑に進行させ,本来のPBL(Project Based learning)の学習目的である「生涯にわたって学び続ける力,主体的に考える力を持った人材の育成」に対して,効果があることを明らかにしている。

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