南アルプス国立公園北岳周辺におけるニホンジカの樹木への剥皮の状況

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タイトル別名
  • Bark-stripping by sika deer (Cervus nippon) in natural forests in northern part of Minami-Alps National Park
  • ミナミアルプス コクリツコウエン キタダケ シュウヘン ニ オケル ニホンジカ ノ ジュモク エ ノ ハクヒ ノ ジョウキョウ

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抄録

南アルプス国立公園の北岳周辺における森林へのニホンジカの影響の現状について報告した。剥皮率は、落葉広葉樹林で最も高く、次いで亜高山帯針葉樹林、ダケカンバ林の順であった。どの森林タイプでも、2008年よりも2012年で剥皮率が高かった。特にダケカンバ林では、2008年には剥皮は皆無であったが2012年には剥皮が見られるようになっていた。剥皮された幹数は、全体で2008年の48本から2012年の77本に増加し、特に、落葉広葉樹林でのオオイタヤメイゲツ、ダケカンバ林・亜高山帯針葉樹林でのオオシラビソ・シラベで増加していた。亜高山帯針葉樹林とダケカンバ林では、山梨県内で甚大な影響が及んでいる林分に比較すれば剥皮が軽微であるものの、剥皮幹数・率ともに増加しており、今後注視していく必要がある。特に、標高の高いダケカンバ林は、高山帯直下であること、隔離的に少数定着しているオオシラビソ・シラベが剥皮されていることから、今後のモニタリングが必要とされる。

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