冷蔵下に置かれたミカンコナジラミDialeurodes citri(Hemiptera: Aleyrodidae)の生死を判定するためのATP分析法(ATPアッセイ)

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  • ATP assay to determine the viability of the citrus whitefly Dialeurodes citri (Hemiptera: Aleyrodidae) under refrigeration

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抄録

植物検疫において、寄主植物に固着して動かない害虫(たとえばコナジラミ類若虫等)は目視による生死の判定が難しいため、生物発光現象によるアデノシン三リン酸(以下ATP)分析法(ATPアッセイ)を利用した昆虫の生死判定技術の開発が検討されてきた。本調査では冷蔵条件がATP測定値にどのように影響するかといった従来の調査が扱わなかった点に着目し、非冷蔵条件下(室温)及び冷蔵条件下(4±1℃)のそれぞれにおいて、生存時及び死亡後それぞれのDialeurodes citri(ミカンコナジラミ)4齢若虫の1個体毎のATP量を計測した。その結果、非冷蔵条件下の生存供試虫(n=18)のATP量は157.69±30.27pmol(平均値±標準偏差)であり、生存時に冷蔵条件下に置かれた生存供試虫のATP量は冷蔵日数に従って増加した。全試験区のデータを合わせると、生存供試虫のATP量が108.50-329.00pmolの範囲であることに対し、致死処理後2時間経過後で2.24-12.30pmolの範囲、致死処理後24時間経過後で0.11-12.00pmolの範囲となった。このように、生存時及び死亡後において非冷蔵条件下または冷蔵下条件下のいずれに置かれても、供試虫の生存時と死亡後とのATP量の差異は死亡後短時間で明瞭となることが確認された。以上のことから、冷蔵下においてもATPアッセイを利用する昆虫の生死判定は実用の可能性があるものと結論づけられた。

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