東日本大震災後に再評価される保健師と地域との関わり

書誌事項

タイトル別名
  • The Rethinking of Relationship between Public Health Nurse and Local Society After The Great Tohoku Earthquake
  • 東日本大震災後に再評価される保健師と地域との関わり : 徳島県プラチナ保健師制度の事例から
  • ヒガシニホン ダイシンサイ ゴ ニ サイヒョウカ サレル ホケンシ ト チイキ ト ノ カカワリ : トクシマケン プラチナ ホケンシ セイド ノ ジレイ カラ
  • Based on the Case Study of Tokushima prefecture’s Platinum Public Health Nurse”
  • 徳島県プラチナ保健師制度の事例から

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抄録

<p> 本稿の目的は、災害時の応急対策期におけるニーズ把握の実践を主とした被災者支援の経験が、保健師と地域社会や地域住民との関わり方の再評価に対して、どのような影響を与えているのかを、退職保健師の活動事例から検討することである。岩手県大槌町では、退職保健師が住民のニーズ把握のため、ボランティアでの災害対応を行った。これは異例であり退職保健師が行政の後ろ盾のないまま活動するのは困難である。</p><p> 徳島県では退職保健師を県が組織化し「プラチナ保健師」制度を設立した。この制度は、東日本大震災の際に宮城県に派遣された経験をふまえて、地域のことをよく知っている現職の保健師が統括的な立場にいる必要があり、退職保健師は現職の保健師が活動しやすいように後方支援的な立場を担うと良いのではないかという考えのもと設立された。ここで再評価されているのは地区担当制と呼ばれる保健師の活動体制である。現況では保健師の活動体制は実質的な業務分担制が主であり、地域や地区の住民と関わったり関係機関を調整したりする経験が減少している。徳島県プラチナ保健師制度は、この課題意識が東日本大震災をきっかけに具体化され、平常時からの退職保健師と現職の保健師との連携を目指す制度である。</p>

収録刊行物

  • 社会学研究

    社会学研究 101 (0), 115-139, 2018-03-28

    東北社会学研究会

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