宮城県北部沿岸における2015~2017年のキタムラサキウニStrongylocentrotus nudusの分布状況からみた個体密度管理

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タイトル別名
  • Regulation of population density suggested by changes in distribution of sea urchin Strongylocentrotus nudus in the north coast of Miyagi Prefecture from 2015 to 2017
  • ミヤギケン ホクブ エンガン ニ オケル 2015~2017ネン ノ キタムラサキウニ Strongylocentrotus nudus ノ ブンプ ジョウキョウ カラ ミタ コタイ ミツド カンリ

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抄録

1)2015~2017年に宮城県内北部3漁場においてキタムラサキウニの分布調査等を実施した。2)何れの漁場も海藻群落は縮小傾向にあり,特に漁場Cでは波打ち際のみ海藻群落の残存が見られた3)年によるキタムラサキウニの分布密度に増減はあるが,同じ調査年では密度が高い漁場C,密度の低い漁場B,中間程度の漁場Aとなり,海藻群落の状況と一致していた。4)生殖巣指数についても直近にかけて低くなる傾向にあった。特に漁場Cは2017年にはほとんどの個体で商品価値が見込めない状態であった。5)密度の高い漁場では平均殻径は小さくなる傾向にあり,2015年よりも直近にかけて小型化する傾向にあった。特に漁場Cではほとんどの個体が漁獲可能なサイズを下回り,また成長も期待できない状況であった。6)2015年には漁場A及びBでは震災前の年級群が多く確認され,一方漁場Cでは震災以後の年級群が多く確認されたことから,既報を年級群組成から支持する結果となった。その後何れの漁場でも世代交代が進みつつあったが,漁場Cでは震災後に加入した年級群の割合が低下する現象が見られた。7)生殖巣指数は個体密度と負の相関を示し,概ね3個/m2を下回る調査点では漁獲可能なサイズでかつ商品価値が見込まれる生殖巣指数であった。8)キタムラサキウニの密度が非常に高い状態となった漁場では,潜水によりウニを物理的に潰し駆除する方法や,回収を行い移植するなど,積極的な密度管理を検討する必要があるだろう。

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