『千葉関与継雑談』 : 翻刻と解題(下)

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タイトル別名
  • 千葉館世継雑談 : 翻刻と解題(下)
  • チバカン ヨツギ ザツダン : ホンコク ト カイダイ(シタ)
  • Chibayakata-Yotsugi-Zodan : A Review of Subject and Transliteration(PartⅡ)

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抄録

Departmental Bulletin Paper

前稿に引き続き、馬琴合巻『千葉館世継雑談』(文化九年[一八一二」刊)の翻刻をおこない、簡単な解説を付した。   文化六年(一八〇九)以降、馬琴は京伝と歩調を合わせるように、歌舞伎・浄瑠璃といった演劇種の脚色や趣向を駆使した作品を数多く著しているが、本作はその方法を採らず、御家騒動を中心とする時代物として描いている。  また、本作は長編読本『南総里見八犬伝』(文化十一年~天保十三年[一八一四~四二]刊)との関係が指摘できる。例えば、千葉家の執権幕割治部之進は、馬加大記常武として描き直されている。ただ、当主頼胤に関して、本作では悪臣を討ち千葉家を再興する善良な君主であるのに対し、『八犬伝』では悪臣に操られる「暗愚の弱将」となっている。歴史上の人物に対する善悪評の変化は勧善懲悪を標榜する馬琴の小説作法を考えるうえで、大いに注目すべき点であると言える。

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