エリアンサス敷料がブロイラーの生産成績と飼養環境に与える影響 : コマーシャル鶏生産農場での実証試験

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of erianthus bedding on broiler production performance and rearing environment : Verification test on a commercial farm
  • エリアンサスフリョウ ガ ブロイラー ノ セイサン セイセキ ト シヨウ カンキョウ ニ アタエル エイキョウ : コマーシャル ケイ セイサン ノウジョウ デ ノ ジッショウ シケン

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抄録

オガクズの代替素材として,草本系資源作物であるエリアンサスの敷料適性を評価した。コマーシャル鶏生産農場での2回の飼養試験を通し,エリアンサス敷料がブロイラーの生産成績や飼養環境に与える影響について,オガクズ敷料と比較した。1回目の飼養試験(試験1)は10,000羽規模の鶏舎で,2回目(試験2)は5,000羽規模の鶏舎で実施した。敷料には,処理区にエリアンサスの粉砕物,対照区にスギ由来のオガクズをそれぞれ用い,両区とも約30~40 mmの厚さとなるように鶏舎に敷設した。1日齢の雛を飼養密度が15.0±1.0羽/m2となるように鶏舎に導入し,出荷日齢まで農場の慣行法に従い飼養した。その結果,両区の間で育成率,飼料要求率,平均体重,生産指数に有意差はなかったが,1日増体量(P = 0.11)と平均体重(P = 0.09)は,処理区が対照区より高い傾向があった。処理場での廃棄率は,試験2において処理区が対照区よりも有意に高くなったが(P<0.01),処理区の廃棄率は1.10%であり既往の検査廃棄データと比較しても同等以下であった。健康状態の評価では,両区の間で気管支炎,敷料摂取,趾瘤症の平均スコアに有意差は認められなかった。画像解析によるブロイラーの移動量の比較では,処理区は対照区よりも有意に移動量が少なく(P<0.01),ブロイラーにとってエリアンサス敷料がオガクズ敷料よりも快適であった可能性が示唆された。飼養環境面では,両区の間で,敷料水分と床面10 cm地点のアンモニア濃度に有意差は認められなかった。一方,敷料温度は,処理区の方が対照区よりも高く(P<0.01),最大で1.8℃の差があり,飼養期間の後半で敷料の発酵が始まっている可能性が示唆された。以上の結果から,敷料としてのエリアンサスは,ブロイラーの生産成績と飼養環境への影響がオガクズと同等であり,オガクズ代替になりうると考えられる。

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