家兎自家癌における肺胞マクロファージの抗腫瘍性に関する実験的研究 Experimental Studies on Antitumor Activity of Rabbit Alveolar Macrophages during Carcinogenesis

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著者

    • 横崎, 恭之 ヨコサキ, ヤスユキ

書誌事項

タイトル

家兎自家癌における肺胞マクロファージの抗腫瘍性に関する実験的研究

タイトル別名

Experimental Studies on Antitumor Activity of Rabbit Alveolar Macrophages during Carcinogenesis

著者名

横崎, 恭之

著者別名

ヨコサキ, ヤスユキ

学位授与大学

広島大学

取得学位

医学博士

学位授与番号

乙第1876号

学位授与年月日

1989-07-27

注記・抄録

博士論文

肺胞マクロファージは,常に外気と接触し刺激を受けている細胞であり肺胞内細胞の90%以上を占め,生体防御機構において重要な働きをしているものと考えられている。また肺内における環境の変化に対応して腫揚免疫においても重要なエフェクター細胞と考えられる。しかし,肺癌の発癌過程における肺胞マクロファージの免疫学的意義は,十分に明らかではない。そこで著者は家兎を用い,肺胞マクロファージの機能的変化を,抗腫瘍活性を中心に検討した。まず,家兎の肺胞マクロファージは,気管支ファイバースコープにてBALを行う事により採取したが,はじめにその方法,間隔について検討した。次に家兎の肺に化学発癌を惹起させ,発癌過程における肺胞マクロファージの機能的変化を観察した。さらにBRMを用いその抗腫瘍活性の増強方法について検討し,以下の結論を得た。1) 家兎における,気管支ファイバースコープを用いたBALは,注入量20ml,洗浄回数2回で2~3×10<6>個の肺胞マクロファージを回収できた。 2) BALの施行間隔を1週間以下とした場合,肺胞内細胞成分または肺胞マクロファージの機能に変化が認められた。2週間では変化を認めなかった。 3) 家兎肺胞マクロファージは,6種のヒト培養腫瘍細胞株に対し,増殖抑制能を示したが,正常細胞であるヒト線維芽細胞に対しては,増殖抑制能を示さなかった。 4) MNUを左主気管支に注入し, 12週で1羽/3羽, 24週で3羽/3羽の中枢型肺癌の発生を認めた。 5) その発癌過程における肺胞マクロファージの腫瘍細胞増殖抑制能を観察し,経時的な上昇を認めた。 6) 実験12週で屠殺した2羽の家兎において,発癌家兎と非発癌家兎の間で腫瘍細胞増殖抑制能の上昇の程度には差を認めなかった。実験24週で屠殺した3羽の家兎において癌腫の浸潤の程度と腫瘍細胞増殖抑制能の上昇に関連は認められなかった。7) 発癌過程における肺胞マクロファージのNBT還元能は有意な変化を示さず,貪食能は経時的な低下,免疫抑制活性は経時的な上昇を認めた。免疫抑制活性は個体差を認めた。 8) 発癌過程における肺胞マクロファージの腫癌細胞増殖抑制能は,免疫抑制活性との間に正の相関を認め,貪食能との問には負の相関を認めた。 9) LPS, N-CWS, IFNγは,腫瘍細胞に対し,直接の増殖抑制作用は示さず, TNFは腫蕩細胞に対し,腫瘍細胞の種頬によっては直接,増殖抑制作用を示した。 10) LPS, N-CWS, IFNγは,それぞれ肺胞マクロファージの腫瘍細胞増殖抑制能を増強させた。11) その場合IFNγに対する反応性は,個体差が認められ反応性を示さないものも認められた。12) 反応性を示さない家兎においてもIFNγ添加後にLPSを添加した場合は, IFNyに容量依存性作用の発現を認めた。 13) 併用の場合他に, N-CWSとIFNγ, N-CWSとTNFおよびIFNyとTNFの組み合わせにおいて肺胞マクロファージの腫瘍細胞増殖抑制能増強作用に関して相乗効果が認められた。TNFを含む組み合わせでは,特にTNF resistant cell lineに対して強い相乗効果を認めた。以上より肺胞マクロファージは発癌の初期段階において抗腫瘍性を上昇させており,それはBRMの併用により効果的に上昇させ得ることが試験管内において確認できた。但し腫瘍細胞増殖抑制能と免疫抑制活性の間には相関が認められ肺胞マクロファージの抗腫癌性の検討の際に注意が必要であると思われた。

To examine the effects of carcinogenesis on the antitumor activity of alveolar macrophages, MNU was instilled into the rabbit bronchus to produce cancer, and changes in rabbits were observed for the next 24 weeks. Alveolar samples were collected by bronchofiberscopic BAL (Bronchoalveolar lavage), which does not require animal sacrifice. Although BAL itself causes changes in the lung, it was confirmed an interval of two weeks allows BAL to be performed serially. Significant changes with time in the total cell count and differential cell count in BALF (Bronchoalveolar lavage fluid) were not seen. Functions of PAM were as follows: cytostatic activity increased progressively, phagocytosis gradually decreased, and both showed significant differences from pre-values. No significant change with time was noted m the NBT reduction. Suppressor activity increased with time in some rabbits, and showed a significant correlation with cytostatic activity. The in vitro effect of BRMs on the cytostatic activity of alveolar macrophage was also studied. LPS potenbated the cytostatic activity against each of 3 kinds of target cells, while N-CWS, IFN and TNF each potentiated activity partially. When these were used in combinations, synergistic effects were observed between LPS and IFN, between N-CWS and IFN and between TNF and N-CWS.

広島大学医学雑誌, 37(3), 347-389, 平1-6月 (1989)

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000072801
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000072996
  • DOI(NDL)
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000000237115
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
    • NDLデジタルコレクション
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