ディジタル統合サービス向け小型ユーザ局を対象とした国際衛星通信システムの設計に関する研究

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著者

    • 野原, 光夫 ノハラ, ミツオ

書誌事項

タイトル

ディジタル統合サービス向け小型ユーザ局を対象とした国際衛星通信システムの設計に関する研究

著者名

野原, 光夫

著者別名

ノハラ, ミツオ

学位授与大学

北海道大学

取得学位

博士 (工学)

学位授与番号

乙第4974号

学位授与年月日

1996-03-25

注記・抄録

博士論文

衛星通信では、今後の多様なディジタルサービスの提供に向けてその多元接続性、同報性、運用の柔軟性、機動性、広域性、広帯域性等の特長を活かしたシステムの設計、設計結果の実現および検証が重要な研究課題となっている。本論文は、小型地球局からなるユーザが直接衛星にアクセスする形態の国際衛星通信システムにおいて、ユーザの伝送要求に応じつつ衛星資源の活用を図るための通信システム設計およびその要素技術の試作評価に関する一連の研究成果をまとめたものである。その主な目的は、より小型のユーザに対して、より簡便でかつ適切な通信手段を提供することにある。さらにこの通信システムは、多様なディジタルサービスの利用を目指すユーザの指向に即したものでなければならない。本研究は、現状の衛星通信に即したシステム構成および衛星構成まで含めた将来的なシステム構成について段階的に検討を行ったものであり、以下の6章から構成される。第1章は緒論であり、本研究の目的と構成について述べた。第2章では、現在の代表的な衛星としてインテルサット衛星を想定し、周波数帯域として小型地球局の利用を容易にするKu帯(14/11, 12 GHz帯)を中心に、ユーザを直接収容する国際ビジネス衛星通信サービスを効率良く運用するための網構成、デマンド割当て方式および伝送方式について具体的な設計を行った。この結果、衛星資源の一元的な管理とユーザ情報の分散的な管理を同時に効率良く行うために集中制御と分散制御を併用する階層的な網構成を提案した。衛星回線に関しては、呼制御情報を伝送する制御回線とトラヒック・データを伝送するトラヒック回線を個別に設け、制御回線は固定接続とし、トラヒック回線は呼の発生毎に所要の回線を適宜設定するデマンド割当て運用を採用した。伝送方式としてはTDMA回線を用い、回線種別ごとのダイナミックな容量割当ておよび衛星リソースの有効利用を図ると共に、各種地球局を統合的に包括したIBSシステムを構築した。これら設計に基づき実験システムを開発した。この実験システムを用いて衛星実験を行った結果、伝送特性についてはC/N対BER特性の理論値からの劣化が1dB以内、呼接続遅延特性については回線設定所要時間が10秒以内と、それぞれ所望の特性が得られることを確認した。第3章では、多数の受信専用ユーザ局を対象として同報モード衛星回線を用いてデータ配信を行うシステムに階層的な制御網を適用する構成を提案した。このシステムではユーザ局の他に衛星を介したデータ配信を行う1つの中央局と、ユーザごとの受信確認を行う複数の副制御局を設ける構成を採用した。この階層的な網構成において、中央局-副制御局間と副制御局-ユーザ局間の処理時間の比をパラメータとしてポーリングによる受信状態応答処理時間を最小にする最適な副制御局数があること、ユーザ局の通信コストをパラメータとして階層化制御網構成のほうが従来の集中網構成よりシステムコストを低減し得ることを明らかにした。またこの網構成をもとにG3ファクシミリ同報配信システムの試作を行い、その動作を確認した。第4章では、複数の低周回軌道衛星を用い、光衛星間リンクにより広帯域衛星間通信を実現する構成を提案し、ユーザ/衛星間および衛星間リンクの伝送パラメータを解析した。この結果、ユーザ/衛星間リンクでは衛星地上高度とユーザからの最小運用仰角がサービス品質要求および装置実現の観点から重要なパラメータとなることを示した。具体的には伝送損失、衛星可視期間そして所要衛星数について調べ、各項目ごとに衛星高度と最小運用仰角の最適値が異なってくること、従って衛星パラメータを決定するにはトレードオフスタディが必要となることを示した。衛星間リンクについては、衛星の軌道解析により2衛星間の伝送パラメータの変化を調べた。その結果、同一軌道面上の隣接衛星間ではその相対的な位置がほぼ固定されることから光衛星間通信を用いた広帯域リンクの設定に適していること、および隣接軌道面上を同一方向に周回する衛星間では極域において大きく変化することを明らかにした。この結果をもとに、隣接する軌道面上の同一方向に周回する衛星間に、低緯度地域のリンク状態が安定している期間のみ軌道面間リンクを設定する網構成を提案した。この網構成により、任意の2地点間を衛星リンクのみで接続し、全世界をカバーする通信網を構築することができる。さらに光衛星間リンクについて回線設計を行い、低周回衛星間では3,000km程度の距離を見込めば良く、この程度の衛星間距離を対象とした場合の伝送パラメータが現在の光学および光通信技術で実現可能であることを示した。第5章では、第4章に示した広帯域光衛星間リンクを実現するための核となる半導体レーザ送信機の実現性を実証するため同装置の設計および試作評価を行った。その結果、0.8ミクロン帯のLDを対象に出力60mW、伝送速度2.5Gbit/s、波面精度λ/16で直径5mmの円形コリメート光出力を得た。この試作において、コリメータは非球面レンズの適用により全長50mm、3枚のレンズ構成で上記特性を達成した。これにより小型・軽量で特性の優れたLDコリメータを実現できる見通しを得た。併せて、非球面シリンダーレンズにより全長30㎜、2枚のレンズ構成で同等の特性が得られる設計結果を示した。また、実際の通信装置を構成する際に必要となるシリコン・アバランシェフォトダイオードを用いた光受信機も開発した。この受信機はカプリング光学系の損失を除いた平均光受信レベル-30.6dBmでビット誤り率1x10-9を達成し、0.8ミクロン帯での従来の検討の最高速度である2.5Gbit/s伝送が可能であることを示した。また今後の課題として、これら伝送装置の衛星間通信以外の分野への適用が考えられることを示した。第6章は結論であり、本論文のまとめを行うと共に今後の課題について整理し、小型ユーザ局を対象とした国際衛星通信システムの将来的な展望を示した。

iii, 2, 118p.

Hokkaido University(北海道大学). 博士(工学)

目次

  1. 目次 / 目次-1 / (0006.jp2)
  2. 第1章 緒論 / p1 (0008.jp2)
  3. 1.1 研究の背景 / p1 (0008.jp2)
  4. 1.2 研究の目的と内容 / p2 (0009.jp2)
  5. 第2章 デマンド割当て/国際ビジネス衛星通信システムの設計 / p7 (0014.jp2)
  6. 2.1 緒言 / p7 (0014.jp2)
  7. 2.2 IBSシステムの網構成 / p8 (0015.jp2)
  8. 2.3 キャリア/クロック再生および同期方式 / p16 (0023.jp2)
  9. 2.4 トラヒック回線の設計 / p21 (0028.jp2)
  10. 2.5 制御回線の設計 / p25 (0032.jp2)
  11. 2.6 送信電力制御方式 / p31 (0038.jp2)
  12. 2.7 実験システムの構成 / p32 (0039.jp2)
  13. 2.8 衛生実験 / p35 (0042.jp2)
  14. 2.9 結言 / p38 (0045.jp2)
  15. 第3章 階層化分散制御を用いた衛生同報システムの設計 / p41 (0048.jp2)
  16. 3.1 緒言 / p41 (0048.jp2)
  17. 3.2 階層化分散制御網構成 / p43 (0050.jp2)
  18. 3.3 制御網構成の評価 / p44 (0051.jp2)
  19. 3.4 同報モード衛星回線を用いたG3ファクシミリ配信システムの設計 / p51 (0058.jp2)
  20. 3.5 G3ファクシミリ配信実験システムの開発 / p58 (0065.jp2)
  21. 3.6 結言 / p61 (0068.jp2)
  22. 第4章 光衛星間通信を用いた低集回衛星通信システムにおけるリンク特性評価および回線設計 / p63 (0070.jp2)
  23. 4.1 結言 / p63 (0070.jp2)
  24. 4.2 ユーザ/衛星間回線 / p65 (0072.jp2)
  25. 4.3 衛星間リンク / p71 (0078.jp2)
  26. 4.4 結言 / p81 (0088.jp2)
  27. 第5章 光衛星間通信用LD送信機の設計と特性 / p83 (0090.jp2)
  28. 5.1 緒言 / p83 (0090.jp2)
  29. 5.2 LD送信機の設計 / p85 (0092.jp2)
  30. 5.3 LD送信機の特性 / p93 (0100.jp2)
  31. 5.4 Si-APD受信機の開発 / p99 (0106.jp2)
  32. 5.5 結言 / p104 (0111.jp2)
  33. 第6章 結論 / p107 (0114.jp2)
  34. 謝辞 / p110 (0117.jp2)
  35. 参考文献 / p111 (0118.jp2)
  36. 発表論文リスト / p116 (0123.jp2)
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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000133041
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000967615
  • DOI(NDL)
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000000297355
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
    • NDLデジタルコレクション
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