Electronic structure and chemical properties of endohedral metallofullerenes Electronic Structure and Chemical Properties of Endohedral Metallofullerenes

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Author

    • 大窪, 清吾 オオクボ, シンゴ

Bibliographic Information

Title

Electronic structure and chemical properties of endohedral metallofullerenes

Other Title

Electronic Structure and Chemical Properties of Endohedral Metallofullerenes

Author

大窪, 清吾

Author(Another name)

オオクボ, シンゴ

University

総合研究大学院大学

Types of degree

博士 (理学)

Grant ID

甲第631号

Degree year

2002-09-30

Note and Description

博士論文

フラーレンケージ内に金属原子を内包した金属内包フラーレンは、その特異な構造から新しい分子材料として期待され、多くの研究がなされている。内包される金属の種類、個数、さらに外側のフラーレン構造など、それぞれの組み合わせにより、多様性に富んだ物性の発現が期待される。ゆえに金属内包フラーレンのケージ構造についての系統的な研究は、物質科学的な興味のみならず分子科学的にも重要な問題である。しかしながらその生成効率は高くない。そのために、溶媒との相互作用や各種試薬との反応性など、その化学的性質はよく知られていない。このような現状で、特定な金属内包フラーレンの一連の異性体について系統的な研究を行うことの意義は大きい。  本論文は、金属内包フラーレンの電子状態と化学的性質について分析化学的、分光学的な立場から系統的な検討を行い、5つの章からなっている。第1章は、金属内包フラーレンについての説明とこれまでの研究についての概略並びに本研究の目的を示してある。第2章では、金属内包フラーレンの化学的性質について検討し、特定の溶媒との相互作用について議論した。吸収スペクトル、ESRスペクトルの測定からLa@C<SUB>82</SUB>は、ピリジン、DMF(ジメチルホルムアミド)中でほぼ100%の収率で可逆的に還元される事を発見した。DMF溶液の<SUP>13</SUP>C-NMR、<SUP>139</SUP>La-NMR測定により、La@C<SUB>82</SUB>アニオンの生成を確認した。また、La<SUB>2</SUB>@C<SUB>80</SUB>についても同様の実験を行い、La<SUB>2</SUB>@C<SUB>80</SUB>アニオンに特徴的なESRスペクトルを観測した。ピリジン、DMFが金属内包フラーレンを選択的に効率よく抽出することや、またアニリンは金属内包C<SUB>60</SUB>を抽出するただ1つの溶媒であることが知られている。この発見は金属内包フラーレンと特定の溶媒との特異な相互作用についての一つの説明を与えることができる。第3章では、金属としてランタンを内包した一連のLa@C<SUB>n</SUB>(@はLaがC<SUB>n</SUB>に内包されていることを示す)の分離精製について述べた。具体的にはnの異なるサイズで得られるケージ異性体の個数を確定し、さらにそれらの電子状態についての基本的なキャラクタリゼーションを行った。La@C<SUB>n</SUB>の安定性が溶媒に依存することに注目し、高速液体クロマトグラフイー(HPLC)の移動相にクロロベンゼンを使用することを新たに提案した。この方法によりこれまでに単離の報告があるフラーレンサイズ82,86,90のほかに、76から88まで、一連のLa@C<SUB>n</SUB>分子を高い純度で得ることに成功した。得られた一連のLa@C<SUB>n</SUB>分子につついて、紫外-近赤外の吸収スペクトルを測定した。第4章では、一連のLa@C<SUB>n</SUB>分子について電子スピン共鳴(ESR)の温度変化測定を行い、詳細な電子状態についての検討を行った。ESRパラメーターの異方性の解析から、ラジカル電子はフラーレンのπ軌道上に存在し、分子の電子状態は形式的にLa<SUP>3+</SUP>@Cn<SUP>3-</SUP>で描写できることを明らかにした。更に、特定のフラーレンケージ(La@C<SUB>80</SUB>-I、La@C<SUB>84</SUB>-II)では、対称性の高いフラーレンケージ構造に由来するヤーンテラー変形が起きている可能性を示した。また、金属内包フラーレンを酸化、還元したイオンについて、その電子状態についての検討も行った。第5章では、前章までに得られた結果と今後の研究の展開について議論した。

application/pdf

総研大甲第631号

7access

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    500000230163
  • NII Author ID (NRID)
    • 8000000230659
  • Text Lang
    • eng
  • NDLBibID
    • 000004096975
  • Source
    • Institutional Repository
    • NDL ONLINE
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