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寒冷地の施設栽培における土壌診断と肥培管理法に関する研究 Soil diagnostic methods and fertility management under the condition of field greenhouse culture in cold regions

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著者

    • 林, 哲央 ハヤシ, テツオ

書誌事項

タイトル

寒冷地の施設栽培における土壌診断と肥培管理法に関する研究

タイトル別名

Soil diagnostic methods and fertility management under the condition of field greenhouse culture in cold regions

著者名

林, 哲央

著者別名

ハヤシ, テツオ

学位授与大学

岩手大学

取得学位

博士 (農学)

学位授与番号

乙第144号

学位授与年月日

2011-03-23

注記・抄録

博士論文

施設栽培では一般に単位面積当たりの施肥量が多く,栽培期間中の降雨により土壌成分が溶脱しないため, 土壌の塩類集積が起こりやすい。 塩類集積は作物の生産性を低下させ施設栽培の維持を困難にするため,土壌の生産力を長期的に維持するためには, 土壌に塩類を集積させないように栽培管理する必要がある。 本研究では積雪寒冷地である北海道の施設栽培を対象に土壌管理の実態と問題点を明らかにし, その生産性を長期的に維持するための方策として, ①土壌診断法,②土壌診断と作物生育特性に基づく施肥法, 並びに③堆肥の施用法と堆肥施用時の施肥管理法の各々を高度化させた。1.北海道のハウス栽培における土壌管理上の問題 北海道のハウスは周年被覆あるいは被覆を剥がすのが冬の僅かな短期間に限られる。 このため,代表的な施設栽培産地を抽出して土壌管理の実態を調査し,深さ1 mまでの層位別に土壌の硝酸態窒素を見ると, 暖地と異なり雨や雪による溶脱量が少ないため,多くのハウスで下層土に硝酸態窒素の残存が認められた。 栽培期間中の土壌硝酸態窒素は,窒素投入量が窒素持出量を大きく上回っていることに起因して高まっており, その窒素投入源として,化学肥料の他に堆肥に由来する量が多かった。 また,多くのハウスで堆肥の連年施用に起因して作土の可給態Nが高まっていた。2.各作物の特性に基づいた下層土窒素の診断技術 北海道の施設栽培における代表的作物を対象に,根系が到達する深さと下層に存在する硝酸態窒素の生育への影響を解析し, 作物ごとに土壌診断の対象とすべき深さを明らかにした。 下層土の各層位に存在する硝酸イオンは,主に根系の深さに依存して吸収された。 従って,トマトのように根系が追肥開始時点で深さ60cm近くに到達する深根性作物を栽培する場合, 定植前に深さ60cmまでの下層に残存する硝酸態窒素に基づいて追肥窒素量を減肥することが出来た。 軟白ネギは根系が作土層に集中しており,下層土の硝酸態窒素を利用することが出来なかった。 ホウレンソウ栽培では土壌の硝酸態窒素は収穫直前まで吸収され, また,その根系は収穫時には深さ40~50 cm程度に到達する。 このため,播種前に深さ40 cmまでの下層に存在する硝酸態窒素に基づいて窒素施肥量を決めることで, 収量が確保されるとともに硝酸イオン濃度の低い収穫物が得られた。 実際の農業場面で下層土に残存する窒素を評価するためには,下層の物理的性質により根系の伸長が阻害されないことが条件となった。3.生育特性に基づいた合理的な施肥法と土壌管理法 北海道のハウス栽培作物の中では栽培面積が多く,かつ浅根性作物であるため下層土診断法を適用できない軟白ネギを対象に, 生育特性,養分吸収特性と土壌養分レベルに対応した施肥法を明らかにした。 軟白ネギは収穫まで栄養生長を持続する植物であり,栽培期間中は明瞭な生育相の変化が認められないため, これまで花芽形成前の生育期を細分化した呼称は特に見られなかった。 しかし,農作物としては軟白化により人為的な生育相が作出されるため, 乾物増加量の少ない生育初期,定植後30日目頃から軟白化を開始するまでの生育盛期, それ以降のCGRが低い軟白部分伸長期の3期に分けられることを明らかにした。 以上の特性を踏まえた窒素施肥法として,初期生育を高めるための基肥量と, 乾物生長速度の高い生育盛期に過不足なく窒素供給するための分施時期および量を明らかにし, その施肥量を土壌に存在する硝酸態窒素量に対応して増減する基準を策定した。4.堆肥施用に起因した土壌への窒素負荷の軽減 家畜糞尿由来堆肥に含まれる窒素の肥効を栽培試験に基づいて精密に評価し, 農業現場向けに普遍化した実用技術として堆肥1 kgにつき施用当年から窒素を2 g減肥, 5年以上連用すると窒素を3 g減肥することを基準化した。 施用当年の評価量は堆肥中の全窒素のうち約50 %を評価したことに相当する。 地温の低い寒冷地では連用により肥効を安定させることが望ましいことを指摘し, 1年当たりの施用量を4 kg m-2と設定した。 また,堆肥施用時に地球温暖化ガスである亜酸化窒素の排出量を抑制するため, 堆肥を施肥の1週間以上前までに施用することが有効であることを示した。5.北海道のハウス栽培における土壌可給態リン酸 北海道のハウス栽培では化学肥料の多施肥と堆肥中のリン酸を評価していないことの両方に起因して, 土壌可給態リン酸が増加傾向にあった。 従来のハウス栽培でリン酸が多施肥されていた軟白ネギを対象に, 土壌リン酸レベルが年間を通して高い作物生産性を安定して維持できる範囲に収束するように, 土壌可給態リン酸レベルに対応して適正なリン酸施肥量を設定した。 また,堆肥の連用に起因して土壌可給態リン酸が高まることを認め, 牛糞堆肥1 kgの施用につき施肥リン酸を3 g減肥できる可能性のあることを指摘した。

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000545050
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000547123
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000011283965
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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