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オーストラリア先住民ヨルタ・ヨルタの環境管理のための先住民運動に関する文化人類学的研究

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著者

    • 友永, 雄吾 トモナガ, ユウゴ

書誌事項

タイトル

オーストラリア先住民ヨルタ・ヨルタの環境管理のための先住民運動に関する文化人類学的研究

著者名

友永, 雄吾

著者別名

トモナガ, ユウゴ

学位授与大学

総合研究大学院大学

取得学位

博士 (文学)

学位授与番号

甲第1396号

学位授与年月日

2011-03-24

注記・抄録

博士論文

 この論文は6章で構成されている。第1章では、オーストラリア南東部の先住民と非先住民の関係に関する先行研究を整理し展望する。ここではこれまでの先住民と非先住民の関係に関する研究では一方がもう一方に取り込まれたり、または対抗するといった二項関係のみに焦点が当てられ、双方が相互に変化する関係を取り扱った研究がほとんどないことを指摘する。さらに土地に関する権利状況を説明し、1970年代からの立法措置の時代から1998年以降の交渉による制度改革の時代へと移行するなかで、そこに生じる現代的課題が変化していることを明らかにする。そして、その交渉を進める先住民の代表組織について整理検討を加え、先住民と非先住民との相互に変化する関係について考察することの重要性を指摘する。 第2章ではヨルタ・ヨルタの被植民地化の歴史を概観した後、彼らが現在置かれている実態、ことに就労形態と住宅状況から生まれる地域格差、さらに地域内での相互扶助と地域外との交流について、国勢調査資料やフィールドワークのデータにもとづいて検討する。 第3章では、運動の担い手であるヨルタ・ヨルタの土地権回復や先住権原承認のための闘いの経緯を記述する。さらに、1970年代はじめから活発化するバルマ森林と湿地を含むマレー河流域の環境管理についてのオーストラリア社会の側の動向を、ビクトリア州政府より出された森と川の生態系を調査した報告書によって明らかにする。同時にヨルタ・ヨルタについては、1999年に結成された水域資源の利用や管理のための「マレー川およびダーリング河下流域における先住民ネイションズ」(Murray Lower Daring Rivers Indigenous Nations)、2004年にヨルタ・ヨルタとビクトリア州政府の間で結ばれた「マレー河流域の資源に関する共同管理協定」(Co-operative Management Agreement between the Yorta Yorta Nation Aboriginal Corporation and the State of Victoria)と「ビクトリア環境評価委員会」(Victorian Environment Assessment Council)より提出された『答申案』と『答申』にもとづいて、ヨルタ・ヨルタとその他のさまざまな利害関係者との間の関係を検討する。その際ヨルタ・ヨルタ、地域住民、環境NGOからの意見書、さらに州政府からの報告書、また地方新聞に掲載されたさまざまな立場からの多様な意見によりつつ、森と河川流域の環境管理をめぐるそれぞれの考え方や人びとの関係を分析する。それはすなわち、ヨルタ・ヨルタの土地をめぐる運動が環境管理をとりこむことによって、複数の個人や集団の相互作用のなかで展開される運動となっていることを明らかにすることである。 こうした運動プロセスとその参加者の相互関係に関するこの章での考察に加え、つづく第4章ではヨルタ・ヨルタの運動の実践を「森林管理方法」と「土地の利用と占有に関する地図(以下、文化地図)」の作成を事例に詳述する。 第5章では、まずヨルタ・ヨルタの運動を推進する2つの様態、1)地域住民との連携、2)都市知識人と国際・国内環境NGOとの連携を明らかにする。ついで、その運動を推進するヨルタ・ヨルタの組織化のあり方を広域的ネットワークと局地的ネットワークに分類し分析する。そこで立ち現れるのは、先住民としてのヨルタ・ヨルタの出自にもとづく系譜が、これら2つの運動を推進するイデオロギーの系譜に歴史的、構造的に重なり合うという事実である。その要因をここでは「社会関係資本」という概念を用いて明らかにした。そしてこうした特徴を持つ彼らの運動が、環境NGOや地域住民との連携などに代表される居住地の環境問題を取り込んだことの意味を検討する。その結果ヨルタ・ヨルタにおいては、これが先住民に固有な問題を解決するための先住民運動に、非先住民を取り込む新たな在り方を構築してきた点を明らかにする。こうして彼らの運動は当該地域における一定の社会性を獲得したが、そのことが先住民運動の影を薄くすることを懸念し、ヨルタ・ヨルタとしての出自を強調するにいたったのである。

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000547269
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000549359
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 023253737
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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