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レーザーシーディング技術を用いた真空紫外コヒーレント放射光発生の研究

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著者

    • 谷川, 貴紀 タニガワ, タカノリ

書誌事項

タイトル

レーザーシーディング技術を用いた真空紫外コヒーレント放射光発生の研究

著者名

谷川, 貴紀

著者別名

タニガワ, タカノリ

学位授与大学

総合研究大学院大学

取得学位

博士 (理学)

学位授与番号

甲第1406号

学位授与年月日

2011-03-24

注記・抄録

博士論文

&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;シンクロトロン放射光は、今日の学術研究や技術開発には欠かせないツールとして広く利用されているがレーザーとは異なりインコヒーレントな光である。これに対し、放射光を干渉性の高いコヒーレント光に成長させる技術が自由電子レーザー(以下、FEL: free electron laser)である。近年では共振器を組まずに長大なアンジュレータ内を電子ビームが1回通過するだけで自発放射光を増幅するSASE(self-amplified spontaneous emission)と呼ばれる機構に基づいたシングルパスFELの開発が活発に行われている。しかしSASE方式は時間コヒーレンスが良くないという欠点がある。これを改善するのに有効とされているのがレーザーシーディング技術である。</br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本論文の主要部分の前半は、UVSOR-IIにおけるコヒーレント高調波発生(以下、CHG: coherent harmonic generation)に関するものである。アンジュレータ磁場中で入射されたレーザー光と相互作用することで、レーザー光の波長間隔で電子ビームにエネルギー変調が生じ、これが電子密度変調に変換され、そこからコヒーレント高調波が発生する。CHGは電子蓄積リングにおいて超短パルスで偏光可変な紫外から軟X線領域までの高コヒーレント光を発生することができる手法として今日まで研究されてきた。CHGはマイクロバンチされた電子ビームからのコヒーレントな自発放射光である為、放射スペクトル強度は電子ビーム内の縦方向電子密度分布を直接反映している。高輝度CHGの実現や次世代FEL光源、特にマイクロバンチのオーバーバンチングを巧みに利用したEEHG(eco-enabled harmonic generation)方式の発展的な開発の為にマイクロバンチング過程を理解することが重要であり、この為CHGは強力なツールとなる可能性がある。</br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;出願者は、真空紫外(以下、VUV: vacuum ultraviolet)領域までのCHGを観測する為、新規にVUV分光装置の設計及び建設を行った。これを利用しUVSOR-IIにおいて、CHGの系統的な測定を行った。まず、入射レーザー(波長800 nm)の第9次高調波(波長89 nm)までのCHGの観測に成功し、そのスペクトルはインコヒーレントな自発放射光に比べ、狭帯域であることを確認した。またコヒーレント放射であることを確証する為、CHGの電子ビーム電流の依存性の測定も行い、2乗則に則っていることを確認した。次に、CHGのピーク波長はアンジュレータギャップを変化させても入射レーザー波長の高調波となる波長で固定されることを確認した。最後に、入射レーザーの尖頭強度に対するCHG強度依存性を測定した結果、CHG強度の飽和現象が観測された。これは、マイクロバンチが最適なバンチング条件に達したことにより強度飽和が起きたことを示している。さらに、CHGの高調波次数によって飽和に必要な入射レーザー尖頭強度が異なることを見出した。加えてCHGの強度飽和後、広範囲に渡ってレーザー尖頭強度を変えるとCHG強度が一方的な減衰ではなく、振動する現象が初めて観測された。上記の現象の理解を深めるために1次元粒子追跡シミュレーションを行った。高調波次数の違いによるCHG強度飽和に必要なレーザー強度の違いはマイクロバンチのフーリエ成分が、高次になればなるほどバンチング形状に敏感であることに起因していることがわかった。また飽和後のCHG強度の振動については、オーバーバンチング過程においてマイクロバンチの縦方向の電子密度分布上にダブルピークが生じるが、この2つのピークの間隔が高調波波長の整数倍になっている時に干渉が起こる為、強度振動が起こっているという理解に至った。</br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本論文の主要部分の後半は、SPring-8において建設が進んでいるSASE型X線自由電子レーザーの試験機におけるレーザーシーディング実験に関するものである。コヒーレント長の長いガス高次高調波(チタンサファイアレーザーの第5次高調波)をシード光とし電子ビームに注入した結果、多数のスパイク状のピークからなるスペクトルであったFEL光を安定したシングルモードスペクトルとなった。このことよりFEL光のコヒーレンスを飛躍的に向上することに成功し、レーザーシーディングの有用性を実証した。またシード型FEL光のピーク波長はアンジュレータギャップを変化させてもシード光の波長で固定されたことから、FELの発振波長をシード光により制御できることを実証した。</br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;以上、博士課程の研究成果として、レーザーシーディングを用いたコヒーレント放射発生の研究、特にCHGを用いたマイクロバンチング過程の理解に繋がる系統的な測定を行った。その結果、CHGの強度飽和における特異な振舞いが確認され、シミュレーションや計算によってそれを理論的に説明することができた。これらの研究を通じてレーザーシーディングの有用性を実証し、また、CHGはレーザーと電子ビームの相互作用によって起こるマイクロバンチの形状及びその発展を研究する為の有用な指針になることを明らかにした。</br>

4アクセス

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000547309
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000549399
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 023253890
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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