周波数変換を用いた楕円関数マルチバンドフィルタの設計に関する研究 A study on design of elliptic function multi-band filters using friquency mapping

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Author

    • 宮田, 尚起 ミヤタ, ナオキ

Bibliographic Information

Title

周波数変換を用いた楕円関数マルチバンドフィルタの設計に関する研究

Other Title

A study on design of elliptic function multi-band filters using friquency mapping

Author

宮田, 尚起

Author(Another name)

ミヤタ, ナオキ

University

電気通信大学

Types of degree

博士 (工学)

Grant ID

甲第664号

Degree year

2012-03-23

Note and Description

博士論文

2011

近年,携帯電話やスマートフォンに代表される小型無線通信機器は多機能化が進み,一つの機器に対して複数の無線通信システムが搭載されるようになってきている.さらに第4 世代移動通信システムLTE-Advanced においては,固定通信網と移動通信網をシームレスに利用することも期待されており,今後通信機器に搭載される無線通信システム数はさらに増加していくと考えられている.したがって,小型無線通信機器を構成する主要な部品である受動フィルタに対しても,複数の通信規格に対応したマルチバンドフィルタの実現の要求がこの数年で急速に高まってきている.これまで先行技術として実現されているマルチバンドフィルタに,帯域数が2 のデュアルバンドフィルタ,帯域数が3 のトリプルバンドフィルタがあり,さらに近年では帯域数が4 のクアッドバンドフィルタや帯域数が6 のセクストゥプルバンドフィルタの多帯域数を実現するものも提案されている.このようなマルチバンドフィルタを実現する手段の一つとして,周波数変換を用いる方法があり,マルチバンドフィルタに対応するマルチバンド周波数変換としては,デュアルバンド周波数変換とトリプルバンド周波数変換が提案されている.しかし,これまでに提案されているマルチバンド周波数変換は,全て1 種類の帯域数のみを実現可能な変換であり,デュアルバンドやトリプルバンドを包含し,将来的に必要と考えられるクアッドバンド以上のさらなる多帯域数など,任意の帯域数を実現可能な周波数変換は提案されていない.また,マルチバンドフィルタにおいて,その帯域数が増加すると,各帯域相互の干渉や混信を防ぐために,通過帯域でのより急峻なスカート特性と阻止帯域での大きな阻止量の実現が要求される.これまで一般的に用いられているチェビシェフ特性と比べてより急峻なスカート特性を有するフィルタ特性に楕円関数特性があり,阻止帯域における阻止レベルを規定可能であるという長所も有する.しかし,その実現のためには電磁界シミュレータ等を用いた試行錯誤により回路構成を特定しなければならず,その実現に大きな労力を必要とする.そこで,本論文では,まず第1 に,マルチバンドフィルタの設計理論の1 つである周波数変換に着目し,クアッドバンド以上の帯域数など,任意の帯域数を実現可能なマルチバンド周波数変換を提案し,多帯域数のマルチバンド周波数変換を用いる場合に問題となる未知定数の決定法において,少ない計算手順で利用可能な方法を併せて提案した.提案したマルチバンド周波数変換は従来の周波数変換を繰り返し適用することを拡張することによって導出される.また,提案する未知定数の決定法は,その計算手順において,零点及び極を求めることに特徴を有する.提案したマルチバンド周波数変換と未知定数の決定法を用いたマルチバンドフィルタの設計例を示し,提案手法の有効性を確認した.ここで,筆者がマルチバンド周波数変換を提案した後に,類似の技術として,任意の帯域数を実現可能なマルチバンドBPF 周波数変換が提案されており,今後もマルチバンドフィルタ及びマルチバンド周波数変換の研究が盛んに行われると考えられる.ただし,このマルチバンド周波数変換は,マルチバンドBPF 変換についてのみの提案であり,マルチバンドBEF 変換は含まれていないことなどから,依然本論文で示したマルチバンド周波数変換の優位性は変わらない.第2 に,急峻なスカート特性と,阻止レベルを規定可能であるという特徴を有する楕円関数特性をもつ楕円関数フィルタを,スタブ形共振器と呼ばれる単純な回路構成で実現可能であることを示した.スタブ形共振器を用いた楕円関数フィルタの実現により,大きな労力を必要とせずに楕円関数フィルタの回路構成を特定でき,奇数段目の共振器を適宜選択することによって,楕円関数特性にさらなる付加価値を持たせることが可能となる.スタブ形共振器を用いた楕円関数フィルタの設計例を示すとともに,各設計例では試作実験を行い提案するスタブ形共振器を用いた楕円関数フィルタが高い有効性と実現性を有していることを確認した.最後に,マルチバンド周波数変換と楕円関数フィルタを組み合わせ,スタブ形共振器を用いて実現することを想定した楕円関数マルチバンドフィルタについて検討を行った.楕円関数マルチバンドフィルタとして,楕円関数デュアルバンドBPF と楕円関数トリプルバンドBPF の設計を行い,楕円関数特性においてもマルチバンド周波数変換を適用可能であることを確かめ,スタブ形共振器フィルタによって実現する際に,置換が容易となる構成として2 種類の構成が得られることを示した.今後,これらの楕円関数マルチバンドフィルタについて,スタブ形共振器フィルタを用いての実現性について検討する必要があるが,同様の手順を用いて試作実験を行ったスタブ形共振器を用いた楕円関数フィルタが高い実現可能性を有していることを理論的及び実験的に検証しており,ここで示した楕円関数デュアルバンドBPF と楕円関数トリプルバンドBPF についても同様に実現の可能性は高いと考えられる.以上により,本論文ではマルチバンドフィルタの設計理論及び実現手法を提案し,提案手法はマルチバンドフィルタの実現に有用な手段であることを示した.

40access

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    500000560198
  • NII Author ID (NRID)
    • 8000000562405
  • Text Lang
    • jpn
  • NDLBibID
    • 023851734
  • Source
    • Institutional Repository
    • NDL ONLINE
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