市民(成人,障害者,生徒)における歯科保健の現状と課題 「仙台市歯科保健実態調査」結果(第1報)

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タイトル別名
  • Evaluation of oral health status in the population (adult, disabled persons and students)   —an analysis of the oral health status survey in Sendai City (1)—
  • シミン セイジン ショウガイシャ セイト ニ オケル シカ ホケン ノ ゲンジョウ ト カダイ センダイシ シカ ホケン ジッタイ チョウサ ケッカ ダイ1ポウ

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抄録

目的 市民(成人,障害者,生徒)における歯科保健の現状と課題を明らかにすることにより,今後,地域において展開される歯科保健対策推進の方向性を検討する。<br/>方法 仙台市が平成11~12年度に実施した「仙台市歯科保健実態調査」の調査結果を基に成人市民(一般成人,障害者,障害児保護者,保育所・幼稚園児保護者,小学校 3 年生保護者)および中学 1 年生,高校 3 年生を対象に歯科疾患の日常生活に及ぼす影響や歯科保健に関する知識,意識,歯科保健行動や歯科保健情報の充足度等を対象群別,性,年代別に集計,分析するとともに群間比較を行った。<br/>成績 アンケート調査票の有効回収率は個々人に対する郵送法で実施した成人調査は26.9%と低かったが,施設等を通じて配布,回収した調査(障害者,保護者,生徒)では69.1%から94.2%であり,ほぼ良好な回収率であった。その結果,成人市民の約半数は過去 1 年以内に歯科治療を受けており,そのうちの約 7 割の者には歯科疾患に関連した自覚症状を認めた。成人対象の約30%の者と中・高校生対象の4.2%~6.0%の生徒は歯科疾患とそれに随伴する不快症状により日常生活に支障を来していた。「ムシ歯は病気と思う」と回答した者は中学 1 年生の39.2%から小学 3 年生保護者の62.7%であり,成人市民の 4 割は「年をとると歯が抜けるのは仕方ない」とみなしていた。<br/> また,すべての調査対象が「歯科疾患(う蝕,歯周疾患)の予防法」の第一選択肢として「歯みがき」をあげ,う蝕予防効果が科学的に確認されている「フッ化物」の応用をあげた者は少なく,歯周疾患予防に有効である歯間部清掃用具の使用者も小学 3 年生保護者の 4 割が最多で,成人市民では 1 割に過ぎなかった。成人市民の 6 割強は「かかりつけ歯科医」があると答えたが,「定期健診」の受診者は 1 割弱にすぎず,1 年以内に「歯みがき指導」や「歯石除去」を受けた者の割合も低かった。<br/> 「8020運動」を聞いたことがあるとする市民は 4 割強に止まり,「喫煙と歯周疾患が関係ある」と回答した者は 3 割であった。<br/>結論 本調査では,成人対象の34.2%の者が歯科疾患やそれに由来する不快症状により日常生活に影響を被っており,依然として歯科保健は社会的な課題の一つである。今後,市民の歯科保健の向上のためには歯科保健意識の醸成を図るとともにヘルスプロモーションの理念を基盤に,科学的根拠に基づいた体系的,継続的な歯科保健対策の推進が必要であることが明らかとなった。

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