有棘細胞癌を併発した劣性栄養障害型先天性表皮水疱症の2例

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  • [Two cases of recessive dystrophic epidermolysis bullosa with squamous cell carcinoma].

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抄録

上肢に有棘細胞癌を併発した劣性栄養障害型先天性表皮水疱症の成人例2例を報告した.症例1,26歳,女性.左手背部の糜爛面に約3ヵ月の経過にて手挙大腫瘤を生じ,組織学的に角化傾向の少ない比較的未分化な有棘細胞癌であった.ブレオマイシン静注および腫瘤への局注を行ない,リニアックを照射するも効果を認めず,左前腕部より切断術を施行し,左腋窩および左鎖骨上リンパ節廓清を行なった.しかし,間もなく局所再発,肺転移をきたし術後4ヵ月で死亡した.症例2,33歳,男性.右前腕部に約1年の経過で扁平台状の手拳夫腫瘤を生じ,組織学的に角化傾向の強い比較的分化した有棘細胞癌であった.ペプロマイシン60mg静注後,右上腕より切断術を行ない加えて右腋窩リンパ節廓清を施行した.術後10ヵ月を経た現在も再発をみない.以上2症例は本症に有棘細胞癌を併発した本邦第2例および第3例目の報告例に相当する.また,本例の経験より本症の成人例に対しては有棘細胞癌をはじめとする皮膚悪性腫瘍の発生を常に念頭に置き,発生した腫瘤に対しては,速かに組織診断を下すとともに化学療法および手術療法を早期に行なうことが肝要であると考えられた.

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