消化性潰瘍手術後の潰瘍再発例について

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  • A STUDY OF 23 CASES WITH POST-OPERATIVE RECURRENT ULCER

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抄録

著者らは1970年より1983年までに教室で経験した消化性潰瘍術後の再発潰瘍23例について,その臨床病態と成因を分析し外科的治療についても検討した.原疾患別では23例中15例(65%)は十二指腸潰瘍および胃十二指腸併存潰瘍であった.男女比は3.6:1と男性に多くみられた.再発時の年齢分布は21~67歳で,平均47.2歳であった.症状は心窩部痛や吐下血が主で,穿通,穿孔,大量出血,空腸横行結腸瘻など外科的処置を要する合併症を有する症例は14例(61%)と高頻度にあった.初回手術より再発までの期間は18例(78%)は5年以内であった.原疾患別の再発期間は胃潰瘍術後では平均10.2年であるのに対して十二指腸潰瘍および胃十二指腸併存潰瘍術後では平均1.7年で早期に再発したものが多かった.胃液酸度では比較的低酸例にも再発がみられ,潰瘍再発には防御因子の低下も無視することが出来ないと考えられた.成因では残胃過大と考えられたのは14例と最も多く, B-II法後の空腸輸出脚通過障害,縫合糸残存,ステロイド剤の長期投与などを成因とする症例もあった.著者らは治療としては重篤な合併症のない症例ではまず内科的治療を試みている.しかし2~3ヵ月の内科的治療で軽快のみられないものは成因を究明し外科的治療を考慮すべきと考える.外科的治療は内科的治療に抵抗した2例と合併症を有した14例に対しておこなった.外科的治療を施行するに当っては,必らずその成因を適確に分析し,それにあった手術を施行すべきである.しかし著者らは成因の不明症例や,充分に広範胃切を受けたにもかかわらず再発した症例や,他院で再胃切除が施行された後再々発した症例を経験した事から粘膜抵抗の低下した吻合部を含めた残胃追加切除と幹迷切を併せて施行するのが最も良い術式と考える.

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