痴呆患者における語想起障害の特徴について

  • 福沢 一吉
    東京都老人総合研究所リハビリテーション医学部言語聴覚研究室
  • 辰巳 格
    東京都老人総合研究所リハビリテーション医学部言語聴覚研究室
  • 笹沼 澄子
    東京都老人総合研究所リハビリテーション医学部言語聴覚研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Impairment of word fluency in the patients with dementia.

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抄録

軽度~中等度痴呆患者 (アルツハイマー病および老年性 52名,多発梗塞性 41名,その他 7名) を対象に音・意味カテゴリーの2条件下で語想起を行なった.その結果 (1) 痴呆群の再生語数は健常群のそれに比して有意に低下しており,重症度が増すにつれて低下がより顕著であった. (2) 健常群では音条件に比べて意味カテゴリー条件の再生語数が有意に多かったのに対して,痴呆群では両者の関係が逆であった. (3) 一方,両群にみられる再生語の出現頻度パターンとその種類は類似していた. (1) (2) の結果はいずれも痴呆群における意味記憶の構造的・機能的変化を示唆するものであり,一方 (3) の結果はこうした障害を有する痴呆患者においても健常群と同様に,特定カテゴリーにおける中心的な語は周辺的な語に比べて回収され易いことを示唆するものと考えられた.

収録刊行物

  • 失語症研究

    失語症研究 8 (3), 243-250, 1988

    日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (7)*注記

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