非ステロイド系消炎鎮痛剤起因性回腸潰瘍穿孔の1例

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タイトル別名
  • A Case of Perforation of NSAIDs Induced Ileal Ulcer

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抄録

症例は61歳,女性。先天性股関節脱臼による股関節痛のため,1977年頃よりindomethacin坐薬を常用していた。1996年3月下旬より右下腹部痛と下血を認め,当科に入院した。大腸内視鏡検査と小腸透視で終末回腸の全周にわたり多発したびらん,小潰瘍と周囲粘膜の浮腫,血管不透見像を認めた。indomethacinの中止により症状は軽快した。しかし,股関節痛のため再び服用を始めたところ腹痛が出現し,再入院した。消化管穿孔と診断し,緊急手術を行い,回盲部より約30cm口側の回腸に3カ所の穿孔部位を認め,回腸部分切除術を施行した。病理組織学的には多発したUl ⅡからⅣの潰瘍と穿孔を認め,リンパ球を中心とした炎症細胞浸潤と肉芽組織がみられた。NSAIDs起因性回腸潰瘍はまれで,穿孔例は少なく,示唆に富む症例と考え報告する。

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