香川県沿岸区域におけるキジハタの漁獲実態

抄録

1982年から1984年にかけて、漁業協同組合へのアンケート調査、魚市場および漁業者への日誌調査、さらに刺網漁船への乗船調査を行い、香川県下におけるキジハタの漁獲実態を把握した。1. 香川県における1982年のキジハタの漁獲総量は15~20tで、その内の約9割が刺網、残りが一本釣、小型底曳網、小型定置網等で漁獲され、大きさは100~2,000g程度であった。2. 生息漁場は県下全域の各地先に広く分布し、特に潮通しのよい大きな磯場をもつ島しょ部が中心であった。3. 漁獲占有率は一部地区の刺網で全漁獲重量の11.1%という特異な例がみられたが、一般的には刺網で重量の1%、水揚げ金額で2.5%程度と考えられ、漁獲統計資料からもそれが裏付けられた。4. 刺網でのキジハタとの混獲魚種は、カサゴ、オニオコゼ、コウライアカシタビラメ等の底生魚が中心で、クロダイ、キュウセン等の磯魚は混獲されなかった。5. 1983年の香川県における水産物関係の全卸売市場での、キジハタの取扱い総量は約5tで、実際の漁獲量よりかなり少なく、直接料理店等へ小売りされる場合が多いようであった。6. 卸売市場での取扱いサイズは100~300gが8割を占め、平均では約400gであった。7. 1983年の年平均魚価は3,500円/kg以上、月平均では7,200円/kgもみられ、本県ではヒラメ、マダイを上回り魚類では第1位であった。8. 香川県では1945年頃から1975年頃までは比較的多く漁獲されていたが、その後大型魚を中心に急減し、1979~1980年頃から100~200gの小型魚の増加がみられるものの、全体的には漸減していることが予想される。

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