<I>Klebsiella pneumoniae</I>による転移性全眼球炎の2例

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Metastatic Klebsiella pneumoniae endophthalmitis

この論文をさがす

抄録

肝胆道系由来のK. pneumoniaeによる転移性全眼球炎2例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. (症例1) 69歳, 女性. 39℃ 台の発熱, 右季肋部不快感にて発症. 第5病日には右眼窩痛, 視力低下が出現した. 眼窩蜂窩織炎にて眼窩内容摘出術を施行. また右季肋部不快感, 軽度のアルカリフォスファターゼ上昇, 画像診断より胆嚢炎と診断し, 胆嚢摘出術を施行した. 眼窩内容, 術中胆汁よりK. pneumoniaeが検出された. (症例2) 77歳, 女性. 39℃ 台の発熱, 嘔気にて発症.第3病日より左眼痛, 視力低下が出現し, 全眼球炎にて眼窩内ドレナージが施行された.入院後, 画像診断より肝膿瘍と診断し, ドレナージを施行した. 硝子体液, 肝膿瘍よりK. pneumoniaeが検出された. いずれも血液培養は施行されていないが, 肝胆道系感染に伴う菌血症に続発した全眼球炎であったと思われた. K. pneumoniaeによる転移性全眼球炎は, 今まで自験例を含め20例報告されている. 感染原発巣としては肝胆道系が15例 (75%) と最も多い. 視力に対する予後は悪く, 16例 (80%) は失明し, 残る4例も視力の著しい低下を残していた. 従って, 原発巣の検索も含め, 早期からの対応が必要と思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 62 (9), 830-834, 1988

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ