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- タイトル別名
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- Determination of Vertical Dimension by Phonetics in a Case of Mandibular Prognathism with Overclosure
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抄録
咬合挙上が必要と考えられる下顎前突症の1症例について, 子音発音時の下顎位 (発音位) を16mm映画法によって計測し, 咬合高径を設定することを試みた.咬合高径を4段階に挙上するレジンシーネ (切歯指導釘部で3.5mm, 7mm, 10.5mm, 14mmの挙上量) を順に装着し, サ行音, マ行音の組合せ表, 短文「桜の花が咲きました」を発音させた.SSDによってブラウン管上に即時に連続的に表示される声紋と, MKGによる下顎切歯点の運動軌跡を同時録音型16mmシネカメラによって音声とともにフィルム上に記録した.これをGradiconに投影し, SSDによる声紋から発音時点を求めて先行子音の発音位を計測した.その結果, [s], [∫] 発音位は, 「+14mm」のシーネを装着しても, その時点の咬合位よりも1.5mm下方にあり, [m] 発音位は, 「+7mm-+14mm」のシーネでは一定の位置にあった.短文中の子音発音位は, 「+7mm」のシーネで最も上方のものでも「+14mm」の咬合位より下方であった.そこで, 「+14mm」シーネ装着時の高径まで咬合挙上が可能であると判断し, 診断用の上顎オーバーレイ義歯を作製した.診断用義歯の予後良好であることを確認した後, 最終義歯を製作した.義歯装着後3か月の計測では, [s], [∫], [m] 発音位は正常有歯顎者に近い位置となり, 顔貌も改善され, 義歯装着後2年においても発音, 咀囑機能は良好であった
収録刊行物
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- The Journal of Showa University Dental Society
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The Journal of Showa University Dental Society 8 (4), 442-451, 1988
昭和大学・昭和歯学会