低出力レーザー照射の鎮痛効果とその作用機序における中枢モノアミン作働性神経系の役割

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  • ANALGESIC EFFECT OF LOW LEVEL LASER IRRADIATION AND ROLE OF CENTRAL MONOAMINERGIC NERVOUS SYSTEMES IN THE EFFECT

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抄録

低出力レーザー (LLL) 照射の鎮痛効果およびその作用発現における中枢モノアミン作働性神経系2役割を考究する目的で, LLL照射の熱侵害刺激 (TN) 誘発疼痛に対する効果, ならびにTNが誘5発する脳, 脊髄内dopamine (DA) , serotonin (5-HT) およびnorepinephrine (NE) の動態変化に及ぼす影響について通電鍼刺激 (EA) と比較検討した.EA処置あるいはLLL照射をラット左後肢の人足三里穴相当部位に持続的的に施すことにより, TNが誘発する疼痛の國値が有意に増加した.TNが惹起する視床下部, 中脳―視床内DA, 3, 4-dihydroxyhpenylacetic acid (DOPAC) およびhomovanillic acid (HVA) 含量の増加は, EA処置により有意に抑制された一方, LLL照射は, DA含量の増加には影響を示さなかったが, DOPACおよびHVA含量の増加をさらに増大させた.また, EA処置は, TNが誘発する視床下部内5-HT含量および中脳―視床, 延髄―橋での5-HT, 5-hydroxyindole-3-acetic acid (5-HIAA) 含量の増加に対して何ら影響を示さなかったが, LLL照射はこれら化合物含量のいずれの増加も有意に抑制した.LLL照射は, TNで生じる中脳―視床の4-hydroxy-3-methoxyphenyl glycol (MHPG) 含量の増加をさらに増大すると共に, 延髄―橋で惹起されるMHPG含量の減少を有意に抑制した.さらに, LLL照射は, 視床下部のMHPG含量を著明に増加することが観察された.また, LLL照射により, TNが惹起する頸髄, 腰髄でのDOPAC含量増加が著明に抑制されると共に, 頸髄, 胸髄, 腰髄のいずれの脊髄部位においてもHVA, および3-MT含量の著明な増加が生じることが認められた.EA処理により, TNは何ら影響を受けなかった頸髄, 胸髄および腰髄における5-HT含量が有意に増加することが認められた.また.これら脊髄部位での5-HIAA含量の有意な増加あるいは増加傾向が観察された.一方, LLL照射は, 頸髄内5-HT含量の増加を惹起したが, 胸髄, 腰髄では, 5-HIAA含量の有意な減少を生じさせた.EA処置は, 頸髄, 胸髄, 腰髄内EN含量の減少とMHPG含量の増加を誘発した.また, LLL照射によっても, 頸髄, 胸髄でのNE含量の有意な減少とMHPG含量の増加, さらには腰髄でのMHPG含量の著明な増加が認められた.以上の所見から, LLL照射は, TN誘発疹痛に対して緩和作用を示し, その作用機序の一部に脳および脊髄におけるNE代謝回転の促進に起因するNE作働性神経系の活性充進, すなわち, 下行性痛覚抑制系の賦活化が関与することが示唆された.

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