関西医科大学皮膚科における分離細菌―過去15年間の変遷(1977年~1991年)―

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抄録

1977~1991年の15年間に皮膚感染病巣から分離された細菌の菌種の変遷と,Staphylococcus aureus(S. aureus)の分離された皮膚感染症の変貌,S. aureusのコアグラーゼ型(コ型),ファージ群(フ群)につき検討した.感染病巣から分離された細菌の菌種は,つねにブドウ球菌(Staphylococcus)が最優位であった.Staphylococcusの中ではS. aureusの占める割合が増加しており,coagulase negative staphylococci(CNS)が減少していた.S. aureusの中ではmethicillin resistant S. aureus(MRSA)の分離率が徐々に増加していた.連鎖球菌(Streptococcus)特にStreptococcus pyogenes(S. pyogenes)の分離に増加傾向は見られなかった.Gram negative rod(GNR)は年度による変動はみられるものの,およそ10~20%で推移していた.Pseudomonas aeruginosa(P. aeruginosa)の分離率のみ1986年度より急激に増加していた.S. aureusの分離された皮膚感染症は,この15年間に大きく変貌していた.一般的な感染症は減少し,潰瘍,褥瘡など遷延する二次感染病巣からの分離率が上昇していた.S. aureusのコ型ではⅣ型の減少とⅡ型の増加が特徴的であり,フ群ではⅠ,Ⅱ群が減少し,Ⅲ群が増加していた.コ型,フ群の変化はともに皮膚感染症の変貌,耐性菌の分離率などと相関していると考えられた.

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