全国規模におけるMRSAアンケート調査

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  • QUESTIONNAIRES REGARDING MRSA IN JAPAN

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抄録

MRSA (Methicillin-resistant Staphylococcus aureus) の性質およびMRSA感染症の姿は年々変化しているが, その実態を全国の主な施設の専門家を通して2年間の変化として提えた。また, MRSAにかかわる諸問題に対する意識調査を専門家と臨床の第一線で活躍中の一般臨床医とに行った。<BR>1. MRSAの実態に関する調査主な機関, 前期/後期それぞれ16/18施設 (平均ベッド数706/748床) から解答が寄せられた。総検体数 (72,704/81, 170) の中から細菌は[7,315 (14%) 7,555 (15%)], MRSAは[2,443 (33.4%)/3,012 (39.996) ], 外来: 入院比は (5:95/9:91) とやや市中への波及がおこなわれている。<BR>MRSAの複数菌感染は938 (46.3%) 1,431 (52.2%) と増加の傾向で, Pseudomonas aeruginosa, Enterococcus faecalis, Candida albicans, Enterobacter cloacae, Klebsiella pneumoniae等がその相手菌である。<BR>Arbekacin (ABK) に対する感受性で, 耐性とされたものは (1.2%/1.8%) と不変であり, Vancomycinに耐性は無く, ニューキノロン剤には (71.0%/82.0%), Minocyclineは (22.6%/ 34.0%) とそれぞれ10%耐性化が進んだ。<BR>MRSAは喀痰, 膿, 尿, 便の順に多く分離され, 血液由来は2%程度である。<BR>コアグラーゼ型はII型 (78.4%/86.6%) に, エンテロトキシン型はC型 (63.5%/71.3%) に集中しつつある。入院からMRSA出現までの期間が短縮し, 持ち込み感染の様相をうかがわせる。MRSAが発見されるまでに使用された薬剤に特徴はない。院内感染対策委員会はすべての施設に存在し, 消毒マニュアルを持っている。MRSA保菌者はその一部が隔離されている。抗菌剤を全病院的にコントロールしている施設は多くはない。<BR>2. MRSAの意識調査<BR>専門家/一般臨床医の比較で述べる。<BR>MRSAは弱体化したか: Yes (17.5%/10.6%), No (57.5%/47.8%)。MRSA感染症はColonizationに比べ相対的に減少したか: Yes (52.5%/19.6%)。MRSAは市中に拡がりつつあるか: Yes (34.1%/30.8%)。MRSAは増加傾向 (22.0%/49.7%), 減少 (36.6%/15.9%)。<BR>Colonizationの治療は必ずする: (0%/15.8%), しない (25.0%/8.5%), Colonizationのまま退院させる (87.2%/62.6%)。<BR>MRSA対策として第III世代セフェム剤の制限は意味がある (63.4%/64.6%), どちらとも言えない (29.3%/29.8%)。<BR>ABKの耐性化は認められない (64.9%/67.196), 1~2管進んだ (32.4%/31.8%)。<BR>ABKはMRSAに有効か: Yes (97.5%/98.0%)。<BR>MRSAは今後更に問題が大きくなる (2.4%/17.2%), 現在程度のことが今後も続く (75.6%/ 68.4%)。

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