在宅高齢者の検診受診行動と関連する要因 社会的背景の異なる三地域の比較

  • 三觜 雄
    札幌市保健所 札幌医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 岸 玲子
    北海道大学大学院医学研究科予防医学講座公衆衛生学分野
  • 江口 照子
    札幌医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 三宅 浩次
    札幌医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 前田 信雄
    鹿児島国際大学大学院福祉社会学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • FACTORS ASSOCIATED WITH PARTICIPATION IN MEDICAL CHECKUPS OF THE ELDERLY AT HOME COMPARISON OF 3 REGIONS WITH DIFFERENT SOCIAL BACKGROUNDS
  • 資料 在宅高齢者の検診受診行動と関連する要因--社会的背景の異なる三地域の比較
  • シリョウ ザイタク コウレイシャ ノ ケンシン ジュシン コウドウ ト カンレン スル ヨウイン シャカイテキ ハイケイ ノ コトナル 3チイキ ノ ヒカク

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抄録

目的 在宅高齢者の検診受診行動と基本的要因の関連性について,社会的背景の異なる三地域で男女差および地域差の有・無について検討する。<br/>方法 北海道内の都市部・札幌市(70歳),旧産炭過疎地域・夕張市(69歳・70歳),都市近郊農村・鷹栖町(69歳以上75歳未満)の三地域で調査・集計を行った。<br/> 調査項目は,基本的属性〔学歴,家族類型,配偶者の状況,仕事の有・無,過去の最長職,月収,家の所有状況〕,ライフスタイル〔喫煙歴,喫煙本数,飲酒歴,身体的活動習慣,食生活への配慮〕,主観的健康状態・医療受療状況〔健康度自己評価,最近 1 年間の入院および臥床,最近 3 か月間の外来受診,かかりつけ医の有・無,慢性疾患の既往歴,現在受療中の疾患,健康に対する不安感〕,聴力,視力,失禁・身体的不自由・痴呆症状の有・無,身体的・手段的 ADL などで,自記式で回答を得た。χ2 検定と Mantel-Haenszel の検定を用い,地域で層別化し男女別に,検診の「受診群」と「非受診群」を比較した。<br/>結果 男性では「受診群」は「非受診群」と比較して,高学歴・喫煙者の割合が有意に低く,身体的活動習慣を有する者・食生活への配慮をしている者・健康度自己評価で健康・普通ととらえている者,聴力・視力に支障が無い者,身体的・手段的 ADL が良好な者の割合が有意に高かった。<br/> 女性では「受診群」は「非受診群」と比較して,「最近 3 か月間に外来受診有り」の者・「健康に対する不安感を有する」者の割合が有意に高く,受診行動の関連要因に男女差を認めた。<br/> 地域別にみた結果,札幌市の男性では「受診群」の方に「身体的に不自由な部分が無い」者の比率が高かったが,夕張市と鷹栖町では逆に「非受診群」の方が「身体的に不自由な部分が無い」者の比率が高く,地域差が認められた。札幌市の女性では「この 3 か月間に外来受診無し」と「この 3 か月間に外来受診有り」者の比率は「受診群」・「非受診群」でほぼ等しかったが,夕張市・鷹栖町では「非受診群」で「この 3 か月間に外来受診無し」者の比率が高く地域差が認められた。<br/>結論 高齢者に検診受診を勧奨するに際しては,基本的属性の違いだけでなくライフスタイル・主観的健康状態・医療受療状況・ADL の状況などを配慮に加えることが望まれ,さらには地域特性を考慮する必要もある。

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参考文献 (25)*注記

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