【目的】偽腔開存型B型大動脈解離(TBAD)に対するステントグラフト(SG)によるentry閉鎖(TEVAR)手技の妥当性と大動脈リモデリング効果を狭小真腔症例(狭小群)と偽腔拡大による解離性大動脈瘤化症例(瘤化群)で比較した.【方法】狭小群26例と瘤化群20例を対象とした.【結果】両群間の患者背景に有意差はなく,TBAD発症からTEVARまでの期間は,狭小群で2.3カ月と有意に短かった(p<0.0001).術後1週間目のType Ia endoleakは各群1例のみであった.大動脈リモデリング(胸部大動脈の偽腔閉塞かつ真腔比率50%以上)達成率は狭小群で有意に良好で,大動脈イベント(逆行性A型解離,SGによる新たなentry, 5 mm以上の拡大)は,狭小群1例(4%),瘤化群12例(60%)で生じ,大動脈イベント回避率は狭小化群で有意に良好であった.【結論】狭小真腔症例に対するTEVARの手技は妥当であると思われるが,瘤化群では,TEVAR自体の手技の工夫あるいは偽腔血流を遮断する追加手技が必要と思われた.