建築における三次元空間の二次元表現

書誌事項

タイトル別名
  • Representation of 3-dimentional Space on Architecture
  • ケンチク ニ オケル 3ジゲン クウカン ノ 2ジゲン ヒョウゲン ル コルビ
  • ―ル・コルビュジェの軸測図の使用について―

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抄録

建築の分野では様々な方法で三次元空間が二次元の図面に表現されてきた。ここでは, 建築家ル・コルビュジエの軸測図における, 構想される建築空間と表現法の対応を見る。その結果, ル・コルビュジエの軸測図の使用に関して以下のことを指摘することができた。1) 軸測図の使用は, ラショードフォン時代から見られるものの平面図を実形とするミリタリ投影が意識的に使用されるのは1925年頃以降である。2) 軸測図使用には, 彼が参照したショワジーの『建築史』と1923年に開かれたデ・スティールの展覧会の影響が考えられる。3) ミリタリ投影の使用については, 1925年頃が平面方向標準尺度の確立期と一致しており, その空間形状の平面形を正しく表現する投影法が選択されたと考えられる。4) 軸測図には, ポリクロミーと呼ばれる彩色が施されるが, これは, 平面方向標準尺度の採用により確立された厳格な直交グリッドに従う建築構成要素間の視覚的距離を意識的に変化させ, 直交グリッドにより規定される静的な空間にダイナミズムを与えるものである。その効果を表現する上で, 平面方向距離を正しく表現するミリタリ投影が選択されたことは理解できる。6) 以上から, ミリタリ投影の採用は, その起源をショワジーやデ・スティールに見ることができるものの, 彼の構想する建築空間と不即不離の関係にあることが理解できる。

収録刊行物

  • 図学研究

    図学研究 31 (Supplement), 49-54, 1997

    JAPAN SOCIETY FOR GRAPHIC SCIENCE

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (8)*注記

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