松本盆地周辺の山地流域の水系網特性-分岐比・水路長比に対する斜面崩壊の影響-

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  • Effects of Hillslope Failure on Stream Bifurcation Ratios and Stream Length Ratios for the Matsumoto Region, Japan
  • マツモト ボンチ シュウヘン ノ サンチ リュウイキ ノ スイケイモウ トクセ

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抄録

松本盆地周辺の山地内の8流域について,水系図の解析を行ない,水系特性値の特徴と地形プロセスとの関係を検討した.水系図の解析は,等高線のすべての屈曲に基づいて描かれたTタイプ水系と・屈曲の深さが幅よりも大きい谷を抽出したDタイプ水系の2種類について行なった.水系図と地形分類図との比較によると,Dタイプ水系はおもに深層崩壊の発生領域内の谷を表わし, Tタイプ水系はさらに表層崩壊の発生領域内の谷を含む.いずれのタイプの水系でも,大局的にはホートンの第1・第2法則が成立する.分岐比の値は従来報告されている理論値に比べて大きく,とくに丁タイプ水系の分岐比はDタイプ水系のそれよりも犬きい.また,水路長比は理論値よりも小さい.とくに1・2次間の水路長比は小さく,その傾向はTタイプ水系で顕著である.これらの特徴は,高次水路の谷壁における多数の山ひだ・谷の形成と,1次谷頭の斜面上方への到達という斜面崩壊に伴う地形プロセスに起因する.水系網に関する既存研究によると,日本の他の山地流域の分岐比・水路長比も松本盆地周辺での値と同程度となる.また,日本の山地流:域では,崩壊がより不活発な他地域に比べて分岐比は大きく水路長比は小さくなる.このことは,松本盆地周辺で得られた知見が日本の山地流域に広くあてはまる可能性を示している.

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