海岸クロマツ林内に生育するニセアカシアの根萌芽の分布とその形態的特徴

書誌事項

タイトル別名
  • Spacial Distribution and Morphological Features of Root Sprouts in Niseakasia (Robinia pseudo-acasia L.) Growing under a Coastal Black Pine Forest
  • カイガン クロマツバヤシナイ ニ セイイクスル ニセアカシア ノ コン ホウガ

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抄録

海岸タロマツ林内に生育するニセアカシアについて水平根および根萌芽の分布を調査し,根萌芽の発生機構を検討するとともに,根萌芽の形態的特徴を組織学的に研究した.ニセアカシアの水平根は土壌深10cm程に広く分布し,根萌芽はこの水平根上に発生した.水平根の最大長は60.9mで伸長速度は平均1.64m/年と推定された.調窓区内で生育するこセアカシア個体143本のうち根萌芽で繁殖したと考えられる個体は142本で,ほとんどの個体が根萌芽由来であった.これらの根萌芽の発生時期は,その年輪数が水平根の年輪数にほぼ一致することから,水平根が新しく伸長した年であると考えられた.また,その齢構成は連続的であることから,毎年継続して発生していると判断された.これらの結果から,ニセアカシアの根萌芽は,ストレス条件下で発生する萌芽とは異なり,水平根の伸長にともない恒常的に発生する萌芽であると考えられた.水平根の切断処理により発生したすべての根萌芽は,根の中心柱から表皮に向かって伸びる維管束跡上に位置した.この維管束跡は水平根の表皮上に5本の直列線を形成しており,二次側根の分裂組織が休眠することによって形成された組織と考えられた.維管束跡の先端部には分裂組織が認められ,この分裂組織の一部には葉原基様の組織が形成されていた.これらは地上部の潜伏芽と類似した組織形態であった.自然環境下で発生した根萌芽の組織形態は切断処理で発生した根萌芽に類似したが,維管束跡が中心柱から直接肥大している点で異なり,分裂組織は休眠なしに根萌芽を形成していると考えられた.

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