森林における土壌生態系由来の飛翔性昆虫の個体数と分類群構成.

  • 島崎 彩
    東京大学大学院 農学生命科学研究科 野生動物学研究室
  • 宮下 直
    東京大学大学院 農学生命科学研究科 野生動物学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Abundance and Taxonomic Composition of Insects Emerging from Soil to Above-ground Ecosystems in Forests

この論文をさがす

抄録

<p>土壌中に蛹期まで生息し地上へ羽化する昆虫は, 土壌生態系から地上生態系へのエネルギー供給の大きな部分を占めている可能性がある。本研究ではこの可能性を調べる第一歩として, 羽化昆虫を捕獲するための羽化トラップを初夏と秋の2シーズンに2種類の森林に設置し, 食性や生活史の情報をもとにそれらをいくつかの機能群に分類した。捕獲された昆虫全体の平均個体数は初夏に20.5個体/m2/日, 秋に16.2個体/m2/日であり, 個体数が最も多かったのは両シーズンともハエ目長角亜目 (平均個体数 : 初夏18.2個体/m2/日, 秋12.6個体/m2/日) だった。ハエ目長角亜目は,土壌の利用パターンと食性から2つのタイプに分けられた。一つは卵一蛹期を通して土壌中に生息し, 腐食性もしくは菌食性と考えられるもので, 例としてクロパネキノコバエ科やユスリカ科が挙げられる。もう一つは主に蛹期のみに土壌に生息し, 幼虫期は植食性もしくは捕食性のもので, これにはタマバエ類のいくつかの上族または族があてはまる。腐植者もしくは菌食者の個体数はマツ林の方が広葉樹林よりも多かったが, その理由は不明である。</p>

収録刊行物

  • Edaphologia

    Edaphologia 65 (0), 5-12, 2000

    日本土壌動物学会

参考文献 (20)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ