バンコマイシン耐性MRSA・Mu50のバンコマイシン耐性メカニズムについてその-1

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タイトル別名
  • MECHANISM OF VANCOMYCIN RESISTANCE IN MRSA STRAIN MU50

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抄録

バンコマイシン (VCM) 耐性MRSA・Mu50株 (VRSAMu50) の耐性メカニズムについて, 主に細胞壁合成系を中心に検討した。14C-GluNAc取り込みを, VCM感性Staphylococcusaureus FDA 209P株, 臨床分離VCM感性Methicillin-resistant S. aureus (MRSA) H-1株, LR5P1株と比較した結果, Mu50株の取り込みは3倍以上増加していた。また, 上記菌株について細胞質内murein monomer precursor (MMP) の定量をHPLCにて行った結果, Mu50株のMMP量は他の株に比べ3倍以上に増加していた。更に, Westemblottingにより, 上記菌株のpenicillin-binding protein (PBP) 1, 2, 2'の産生量を比較すると, MRSA H-1株に対するMu50のPBP1, 2, 2'産生量は, 1.51, 17.2, 7.06倍であり, LR5P1に対しては, 2.38, 4.46, 1.96倍に増加していた。また, 透過型電子顕微鏡による観察では, Mu50の細胞壁は他株に比べ2倍肥厚していた。更に, Mu50の細胞壁画分に結合するVCM量は, S. aureus FDA209P株の27.5倍, MRSAH-1株の2.65倍であった。以上の結果は, Mu50の細胞壁合成系の亢進と, 細胞壁のVCM結合部位の増加が, VCM耐性に関与していることを示唆した。

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