先天性血栓傾向の分子生物学的解析

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タイトル別名
  • Molecular Biological Analysis of Hereditary Thrombophilia
  • —先天性プロテインS欠損症の遺伝子解析—
  • —Genetic Characterization of protein S Deficiency—

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抄録

プロテインSは血液凝固抑制系反応において重要な役割をもつ糖蛋白である。プロテインSはプロテインCの補酵素として機能するだけでなく,直接活性化第V, X因子を抑制することが最近報告された。プロテインSの抗凝固作用が障害されると血液は過凝固傾向を呈するため,その先天性欠損症は反復して血栓症を発症することが知られている。先天性血栓傾向の中でプロテインS欠損症の占める割合は約5%と比較的高く,その病態解析が急務と考えられるが,分子生物学的解析においてプロテインC欠損症と比較して大きく遅れをとっているといわざるを得ない。プロテインSには非常にホモロジーの高い偽遺伝子が存在し,遺伝子解析の障害になっていることがその最大の理由である。詳細な遺伝子変異に関する解析は現在までに10数例が報告されているに過ぎず,今後も症例の蓄積をもとに病態解析がより一層発展することが期待される。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 36 (4), 299-302, 1995

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (14)*注記

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