硬膜への広範な腫瘍細胞浸潤をきたしたBence Jones型多発性骨髄腫

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タイトル別名
  • Bence Jones Type Multiple Myeloma Showing Diffuse Infiltration to the Dura Mater by Myeloma Cells

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抄録

症例は62歳,男性。平成5年8月全身倦怠感を主訴に当科受診し,精査の結果BJ型多発性骨髄腫の診断にて入院となる。入院直後より意識障害出現し,髄液中にMタンパク出現したため多発性骨髄腫の髄膜浸潤と診断した。頭部CTでは腫瘍細胞の浸潤を示す所見は認められなかったが,MRI(T1強調画像)にて硬膜全体が著明にenhanceされ,骨髄腫細胞の硬膜浸潤が疑われ,硬膜生検を施行した。硬膜の組織学的検索では硬膜の線維性肥厚と骨髄腫細胞の広範な浸潤が認められた。急性リンパ性白血病や悪性リンパ腫など他のリンパ増殖性疾患ではしばしば腫瘍細胞の髄膜浸潤が認められるが,多発性骨髄腫ではまれであり,さらに腫瘍細胞が骨病変から硬膜へ浸潤し,髄膜浸潤をきたしたと考えられる症例は極めて少ない。このような点で本症例は極めて貴重な症例と考えられ,若干の文献的考察を加え報告する。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 36 (7), 694-699, 1995

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (11)*注記

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