表層および全層施肥NH_4-Nと土壌無機化窒素の有機化,脱窒および水稲による吸収

書誌事項

タイトル別名
  • Nitrogen Cycle in Paddy Fields (Part 4) The Fate of Ammonium Nitrogen of Surface Application and Incorporation in the Soil and Mineralized Soil Nitrogen on Assimilation, Immobilization, Denitrification and Absorption by Rice Plants in Semi-Ill-Drained Pad
  • ヒョウソウ オヨビ ゼンソウ セヒ NH4 N ト ドジョウ ムキカ チッ

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抄録

水田土壌中における表層施肥と全層施肥NH_4-Nおよび土壌無機化窒素の有機化,固定化,脱窒および水稲吸収について細粒質強グライ水田で検討した結果は次のとおりであった。1)表層施肥と全層施肥NH_4-Nの現存割合は移植期肥ではあまり相違がなかったが,活着期肥,分けつ期肥,幼穂形成期肥となるにつれて表層施肥NH_4-Nは全層施肥のそれより早く小さくなった。2)施肥NH_4-Nの有機化割合は施肥後の経過日数とともに増加し,移植期肥や活着期肥では3週間程度で増加しなくなったが,分けつ期肥や幼穂形成期肥では2週間後に最大になり,それ以後減少し,一定値に近づいていった。これらを表層施肥と全層施肥で比較してみれば,移植期肥はほとんど相違がなかった。しかし,活着期肥,分けつ期肥および幼穂形成期肥では施用後1週間は全層施肥NH_4-Nの有機化割合が表層施肥のそれより小さかったが,2週間後からは全層施肥のその値のほうが大きかった。3)施肥NH_4-Nの水稲吸収割合は移植期肥では施用後3週間は全層施肥区がやや大きかったが,活着期肥,分けつ期肥および幼穂形成期肥ではいずれの時期も表層施肥区のほうが大きかった。4)施肥NH_4-Nの水田土壌中での脱窒速度は移植期肥≦活着期肥<分けつ期肥となるにつれて大きくなったが,幼穂形成期肥では水稲の窒素吸収速度が大きいため,活着期肥程度の大きさであった。施肥NH_4-Nの脱窒割合は表層施肥と全層施肥でほとんど差がなかった。5)土壌無機化窒素の有機化,脱窒,水稲吸収への転出総量は5月20日から8月6日にかけて全層施肥区で17.1g/m^2,表層施肥区で17.4g/m^2と推定された。これは6月中旬までは少なかったが,6月中旬から7月中旬にかけて非常に多かった。土壌無機化窒素の固定化,脱窒,水稲吸収への転出総量は5月20日から8月6日にかけて全層施肥区で13.5g/m^2,表層肥区で13.2g/m^2と推定された。全層施肥区のこの期間の固定化量は3.8g/m^2,再無機化量3.6g/m^2,脱窒量3.1g/m^2,水稲吸収量6.6g/m^2であった。

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