Transitional pre-B-cell ALL

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抄録

症例は1歳8カ月の女児。発熱と顔色不良で近医受診し,汎血球減少を認め精査目的で当科紹介となった。末梢血に芽球は認められなかったが,骨髄穿刺では有核細胞数45,000個/μl, 核に切れ込みを持つPO陰性のリンパ芽球が大部分を占めていた。細胞表面マーカー上CD10, CD19, CD34, sIgμ陽性でsIgκ, λは陰性であったことからtransitional pre-B-cell ALL (TPB-ALL)と診断した。TPB-ALLはsIgμ鎖陽性,sIgκ, λ鎖陰性のB細胞性ALLと定義され,近年存在が明らかにされたTPBの性質を持つ白血病と考えられている。小児ALL全体の1∼3%の頻度と報告されているが,その詳細については明らかでない。通常のALLの治療によって予後は良好と考えられており,正確に診断し適切な治療方針を決定するには初診時のsIgκ, λ鎖の検索が必須であると考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 42 (2), 94-98, 2001

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (13)*注記

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