T細胞起源と考えられたCD56陽性CD4陽性非Hodgkinリンパ腫

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タイトル別名
  • CD56- and CD4-positive non-Hodgkin's lymphoma of probable T-cell origin.
  • 症例 T細胞起源と考えられたCD56陽性CD4陽性非Hodgkinリンパ腫
  • ショウレイ Tサイボウ キゲン ト カンガエラレタ CD56 ヨウセイ CD4 ヨウセイ ヒHodgkin リンパ シュ

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抄録

症例は65歳,男性。出身地は東京。右頚部,その後両鼠頚部リンパ節腫脹を認めたが,鼻腔には病変は認めなかった。リンパ節生検の組織像はREAL分類では末梢性T細胞リンパ腫(非特殊型)と考えられた。腫瘍細胞はCD56+, CD16-, CD2+, sCD3-, cCD3+, CD4+, CD8-, CD5+, CD7-, CD45 RO+であり,スタンプ標本ではアズール顆粒は認めず,免疫染色ではTIA-1陰性,granzyme B陰性であった。さらにTCR Cβ1の遺伝子再構成を認め,T細胞性リンパ腫と考えた。CHOP-sobuzoxane療法を8コース行い,全身リンパ節は縮小し寛解を維持している。REAL分類上T/NK細胞腫瘍は末梢T細胞性腫瘍として扱われるが,複数の腫瘍単位が含まれる。CD4陽性,CD56陽性リンパ腫はこれまで報告例が散見されるが,本症例のようにCD56+でありながらCD4+ CD8-を呈し,リンパ節TCR遺伝子再構成で強くT細胞性リンパ腫が示唆された症例はむしろ稀と考えられた。REAL分類や新WHO分類(案)ではT/NK細胞腫瘍の分類では,いろいろな所見をふまえた総合診断をするという曖昧さが内在することは否定できない。よって,T/NK細胞腫瘍の分類はまだ確立されているとは言えないと思われ,本症例はその分類を考える上で貴重な症例と考えた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 42 (5), 420-425, 2001

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (20)*注記

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