漢方薬に対するリンパ球幼若化試験偽陽性のため診断に苦慮した自己免疫性肝疾患の2例

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タイトル別名
  • Two cases of autoimmune liver disease misdiagnosed by lymphocyte stimulating test for Kampo medicines

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抄録

リンパ球幼若化試験 (LST) 陽性のため漢方薬による肝障害が疑われたが, 最終的に自己免疫性肝疾患と診断された2例を経験した. 症例1は59歳女性. 漢方薬治療中に肝障害が出現し, LST陽性のため同薬による肝障害が疑われた. 同薬中止後も肝障害は遷延し, 抗核抗体陽性・IgG高値から自己免疫性肝炎 (AIH) を疑い, ステロイドにて軽快した. 同薬再投与にても増悪せず, 薬剤性肝障害は否定的であった. 症例2は70歳女性. 1980年全身性硬化症と診断され, 1988年初診時より胆道系酵素の軽度上昇を認めたが, ウイルスマーカーや抗ミトコンドリア抗体 (AMA) は陰性であった. 1997年9月肝機能障害が増悪し, 服用漢方薬中止後に速やかに回復した. 同漢方薬の構成生薬がLST陽性であったが, 同薬再投与にても増悪せず, 肝障害の原因を再検討した. 抗核抗体や抗セントロメア抗体の強陽性から, AMA陰性の原発性胆汁性肝硬変が疑わしいと考えられた.

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 42 (9), 460-464, 2001

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (7)*注記

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