致死的不整脈に対するIII群抗不整脈薬 アミオダロンを中心に

  • 笠貫 宏
    東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所・循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • <I>Class III antiarrhythmic drugs for fatal ventricular arrhythmias</I>

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抄録

CAST報告以来, 持続性心室頻拍 (VT) /心室細動 (VF) による突然死予防薬はI群薬からIII群薬, 特にアミオダロンに転換している.アミオダロンはK, Ca, Naチャネル抑制とβ, α遮断作用などの複雑な薬理作用を有する.アミオダロンに関して多くの大規模試験がなされ, 突然死のみならず, 全死亡を予防することが検証されている, 一方, 低用量でも肺毒性などの重篤な心外性副作用が惹起される, 日本では欧米に比して至適用量は約120mg/日と少ないが, 肺毒性や甲状腺機能異常などの副作用は少なくない.今後我が国におけるアミオダロンの使い方に関するガイドラインの作成, 適応の拡大が必要であろう.ソタロールはKチャネル (IKr) 抑制と強いβ遮断作用を有する.アミオダロンのような心外性副作用が少ないため, アミオダロン使用前の薬剤として位置づけられている, しかし, QT延長に伴うtorsades de pointesと陰性変力作用が大きな問題であろう.ニフエカラントは純粋なKチヤネル (IKr) 遮断作用をもつ静注薬であり, VT/VFの救急薬としてリドカインと同様の常備薬として位置づけられるであろう.我が国においては1992年にアミオダロン, 1998年にソタロール, 1999年にニフエカラントの保険適用が定められ致死的不整脈に対する抗不整脈薬の選択肢は拡大され, 新たな治療戦略が可能となっている.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 20 (3), 227-235, 2000

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (19)*注記

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